第1話<2/4> 音田先生による1年生向け図書室レクチャー授業
入学式が終わり授業が始まると1年生の国語の授業の中で本校の司書教諭である音田先生による図書室のレクチャー授業が行われた。音田先生は受講者を引き連れて図書室を見せて回った。
国語は必須単位だからどこかの時間枠で必ずみんな受けるので、それで新入生は音田先生を知る事になるんだけど、授業はいたってキチッとしているので放課後の図書委員会顧問の素顔は知られる事はないのだった。
「図書館や学校図書室は昔は紙ばかりだったけど、閲覧席の机の島の中には薄型端末が並んでいる一角もあります。これらの端末は国会図書館デジタルコレクションと国立公文書館デジタルコレクションや著作権切れのデジタル文庫に接続出来るようになっていて調べ学習などに使えます。歴史を調べたいなら古い文献や法令とかチェックするのって大事だから。是非使って下さい。また分からなかったら私や図書委員に質問する事」
そして書架の方を指さした。
「紙の書籍。図書館・学校図書室は今も主流です。POD、オンデマンド出版も高度化していて図書館の所蔵に耐えられるハードカバーの文庫も受注増刷で刊行されるようになりました。
例えば翻訳ミステリー小説を図書館が購入する場合、オンデマンド出版のハードカバー文庫版を購入する事が一般的です。電子書籍版では500ページの本で1500円〜2000円で販売されるようになっています。
図書館向けのハードカバー文庫版は3000円〜4000円でフィルムコートを掛けたものが出ていて、こちらを購入しています」
電子書籍版も結構な値段なので、勢い図書館で借りるというのが読書という子は増えていた。私も学校図書室や市の図書館で借りている。
音田先生は話を続けた。
「YA、ヤングアダルト書籍も限られた予算ですが購入に努めています。本を読む人はふとしたきっかけで他のジャンルも読むよね。学校図書室ではそういう人たちが増えて欲しいと願ってます。だから、欲しい本があればリクエストを校内ネットなり図書室のカウンターに置いている紙に記入して出して下さい。
購入は月1回、予算は極少なので待たせるかも知れないし、買えないかもしれないけど可能な限り要望には応えていきたいと思ってますから。リクエスト増えたらひょっとしたら校長先生や父兄の皆さんが予算増やしてくれるかも知れません。諦めずにどんどんリクエストして下さい。
あと県や市の図書館でもこういうリクエストは受け付けてるからそっちも使っていきましょうね」
みんなも気になったようで音田先生の話はメモしていた。みんな図書室を積極利用しそうな感じになっていた。
ここで他のクラスの女子生徒から手が上がった。
「すいません。雑誌のリクエストもしていいんですか?」
音田先生は困った顔をした。
「良い質問ですね。ただ雑誌は中々増やせません。購読する事になったら毎月買い続ける事になります。1000円の月刊誌を買うと年間12冊買うから1万2000円の本を買うのと同じなんです。それが毎年続くのでどうしても慎重にならざるを得ません。場合によっては他の雑誌と入れ替えで対応する事になるのでこの点はごめんなさいって言う事が多いかも。ちなみに予算って大半はみんなの保護者から出てるからね。そこの所は理解して欲しいな」
「分かりました。先生」
「他に質問があればどうぞ!」
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