第88話 ヘアスタイル

 おかしなサブタイトルですが、執筆時のヘアスタイルって、作業効率に顕著に影響しませんか?


 如月は引きこもりの中年なので、たまーにしか髪を切りに行きません。それも千円カットね。伸び放題伸びてからガツンと切るのです。

 今回もビジュアル系のバンドでもやってんのかってくらい伸び放題にしてから行ったわけですが、それまでの前髪との攻防が凄まじい。


 まずはパッチンピン(?)で留めたわけ。金属でできてて、舟形で、反対向きにパッチンとひっくり返して留めるやつ。

 でもね、如月の髪、無駄に健康でさらっさらのストレートなのね。落ちるわけ、ピンが。しかもちゃんと落ちりゃいいものの、中途半端に引っかかって、髪の毛の先端にピンがぶら下がって目の前でぶらぶらする。余計に邪魔やん!


 仕方がないのでコーム付きカチューシャを使います。田舎のおばあちゃんが良く使ってたなぁ。現在ではおっされーな若い男性も使います。

 如月もおっされーな若い男性に倣って100均で買ったコーム付きカチューシャで、おでこ全開にして頭の上でバシッと……これがやっぱり落ちてくる。

 さらさらストレート、いいことばかりではありません。


 いつもブルーライトカットグラスをかけて執筆している如月なんですが、ちょっとだけベージュに偏った視界になるんですね。それで色の事を扱う描写になると、このサングラスをひょいと頭の上に上げるわけです。

 これがいい感じに前髪を押さえてくれるじゃん! いや、そうじゃない、これはそういう用途じゃない。


 それで今度は女性が洗顔時に使うような幅広のヘアバンド(?)をバシッと……おっ? これはいい感じだ。落ちてこないぞ。

 しかし、頭をがっしりと固定するのでしばらくすると頭が痛くなってくる。


***


 激闘の末、千円カットに行ってきたわけですが(早く行けよ)、今日はたまたま入ったばかりの人がいたんです。三十代後半のその彼は私の髪を見るなり嬉しそうに笑うんです。


「あ~、こういう髪質の人、滅多に会えないんですよねぇ、うわぁ、綺麗だなぁ、あ~、やりたいヘアスタイルがあるんですよ~」

「スーツ着てもおかしくないヘアスタイルなら好きにして貰っていいですよ」

「ほんとですか? スーツ全然大丈夫です。やっていいですか?」

「どうぞどうぞ」

「気に入らなかったら直しますから」


 直せるような髪型なんかい……。


 別にね、ロン毛にしてるわけじゃないんですよ。そんなに弄れるわけがない。まあ、随分放置したので襟足までかかってましたけどね。

 まさかこうなるとは思わなかったんだけど……。


「ここのね、横の髪を耳にかけて、ちょっと残すんですよ。前髪は前からかき上げて横に流す感じで」


 っておい、前髪切ってねえ!


「でも、前髪気にならないでしょ?」


 あ、ほんとだ! なぜ? どうして? なにこれマジック?


「これで金髪にしたら完璧な天王はるかなんだけどなぁ」

「ちょっ、天王はるかって……」

「セーラーウラヌス♡」


 やめろって。

 三十代後半って、そういう年代? もしかして単なるセーラームーンマニア? 

 いろいろな思考が如月の頭の中を通過していきましたが、ヘアスタイル自体はまるっきり違和感が無かったので(勿論、如月として違和感が無かっただけで、当然セーラーウラヌスには見えません!)、それでよしとしてしまいました。とりあえず、執筆の邪魔にはならないようです。

 昨日までの前髪との攻防は何だったんだろう……?


 まあ、あれだ。ヘアスタイル次第で執筆速度が左右されるので、前髪の長さは考えた方がいいということで。



 ……また久しぶりにシロート発言をしてしまったようだな。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る