第54話 敵キャラ

 敵キャラ必須の話を書くとき、とてもとても困ります。

 如月は敵キャラが書けないのです。なんていうかね、ほんとのワルが書けないんです。

 どうしても『いい人』にしたくなる。その人の都合でそうせざるを得なくなってるとか、そういう文化や環境だからそれが正義であるというところで動いてるだけの悪役にしたくなる。徹底的に腹黒い滅茶苦茶なワルが書きたい、けど書けない!



 ところで、古今東西の名作を見ると、敵キャラの魅力に助けられているものが多いことに気づかされます。


 例えば『機動戦士ガンダム』。

 ワタクシ、もろにガンダム世代ですが、ガンダム見たことありません。でも『シャア・アズナブル』だけは知ってます。

 博多二◯加煎餅にわかせんべいのようなアイマスクに、ダースベイダーのメットの白いバージョンみたいなのを被った、金髪のイケメンです。声は池田秀一さん、イケボ中のイケボじゃないですか。

 この方、敵キャラだそうですが、ワタクシこの方しか知りません。


 敵キャラの方が有名じゃん!



 例えば『天空の城ラピュタ』。

 これは何度も見ました。パズーかっこいいです。ジブリ作品の男子の中では断トツのヒーローです(個人的見解)。

 なのに。何故かムスカ大佐がやたらと人気だ。この人、フツーにワルです。チョー自己中です。だけど人気パナイ。これ、キャラ立ちの問題かな?

 ついでに言えばドーラさん。このおばさんも人気あります。敵キャラだったのに最後には仲間になっちゃう。

 この二人には共通点があります。

「3分間だけ待ってやる」(ムスカ大佐)

「40秒で支度しな」(ドーラおばさん)

 もしかして待ち時間が決め手なのか? (多分関係ない絶対関係ない)


 どちらにせよシータより遥かに存在感あります。



 例えば『アンパンマン』。

 ばいきんまん無しにアンパンマンを語ろうとすると、『自分の顔を提供するという自己犠牲に基づいた飢餓難民救援隊員物語』になってしまいます。

 実際のところ最初はそうでした。やなせたかし先生が「アンパンマンに何かが足りない」と考えて思いついたのが悪役の存在だったそうで、「アンパンマンが自己犠牲の象徴なら、敵役は自己中心的な存在に」と考えたそうですね。流石、発想がシンプルでわかりやすい。

 そこで登場するのが『ばいきんまん』というマッドサイエンティスト。いたずらのためにその頭脳を惜しみなく発揮します。しかもそのマッドサイエンティスト、ドキンちゃんという魅力的な悪役に振り回されているというところがいい。

 いたずら好きで、食いしん坊、負けず嫌いで、女の子に弱い。ごっつ人間的。


 めっちゃ魅力的じゃん!



 例えば『秘密結社鷹の爪』。

 世界征服を目論む秘密結社鷹の爪団。日々大家さんに家賃の催促をされながらも、世界征服の野望のために日々努力に努力を重ねる総統と団員たち。

 悪役は言わずと知れた正義の味方・デラックスファイター。

 大体ね、正義の味方の癖に「世界征服を目論む秘密結社」相手に強請ゆすたかりなんて聞いたこと無いよ。酷い悪役だ。

 ちょっとでも気に入らないとすぐに最終兵器デラックスボンバーを発動するしね、どんだけ自己中なの?


 あれ? 待てよ? デラックスファイターが正義の味方ってことは、秘密結社鷹の爪団が悪役? いやいや、鷹の爪団が主人公なら正義の味方が悪役ってこともあるよね?


 あれれれれ? どっちが悪役なの?


 まあ、悪役だろうが正義の味方だろうが、『主人公に対しての敵キャラ』が生き生きしていれば面白くなるんだよね(大汗)。



 ううむ……またシロート発言をしてしまったようだな。

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