第22話 音読

 突然ですが皆さん、自分の作品、声に出して読んでますか?

 ワタクシ如月は、全部の作品を声に出して読んでいます。50万字超の『P-WORLD』も36万字の『いち癇』もです。


 これ、結構効き目があります。黙読していても気づかないようなことでも、音声化すると「あれ?」ってことがある。


 例えば「暗闇をやみくもに進んで」とか。字面だけ見るとわからないんですが、声に出すと「やみ」が連チャンで来る。『橋の端を箸を持って走る』現象です。見た目じゃわかんない。


 他にもいろいろ気付きます。結構気に障るのが男性台詞の「~だぜ」でして、これ、偶に使う分にはそんなに気に障らないんですが、10行くらいの間に二回これが入ると耳触りが悪い。読んでも気づかないけど声に出すとなんか引っかかる。

 私もたまに使いますが、ごくたまーにでもうほとんど使いません。


 言えない言葉もあります。「覚悟が」が言えません。「覚悟があるんですか」毎回噛みます。「かここかあるんですか」何言ってんのかわかりません。まるで覚悟が見えません……。

 まだあります。「性的少数者」が言えません。真面目なシーンを読んでいるのに「しぇーてきしょーしゅーしゃ」……オイ如月! 折角のシーンが台無しだよ!


 別の意味で読めないものなんかもあります。

『クロード葉月先生の徒然日記』夏の第12話「キアゲハさん」なんかはその最たる例で、もう、途中から号泣しちゃって読めない。自分で書いてて号泣するってどーゆー事? でもね、無理なもんは無理なんです。声優にはとてもなれる気がしません。



 そんな些細なことに屈することなく、徹底的に声に出して読むのがワタクシ如月です。女性の台詞も男性の台詞も子供の台詞もです。もう声優になったつもりで、声まで変えます(きっぱり)。

 ボッチの部屋では誰も聞いてません。恥ずかしくありません。たまに庭を通過する猫がジト目で見て行くくらいです。そんな目で見るなよ。


 そんな私でも恥ずかしい台詞というものがあります。

「ついて来いよ、俺に」

 顔から火が出ました。誰だよ、こんなこっ恥ずかしい台詞書いたの! でも、この死ぬほどクサい台詞でないと、ここはダメなのです。


「……言わせないで」

「ダメ。言わないとあげない」

 こんなピンク色で書きたくなるようなセリフもあります。当然ですが、ちゃんと入り込んでますから、そーゆー声出してます。エロいです(アリゾナの地名ではありません)。きっとエロい顔で言ってます。想像しないでください、如月がまるで変態のようですね。女子高生のGLですからね、攻めと受けを一人で両方読んでます。普通に変態ですね。ああ、変態だよ(そこ、開き直るとこじゃない)。

 最近じゃ秘かにBLなんて書いてますからね。

「あっ、待っ……」

「へぇ、お前そんな声出すんだ」

 なんて台詞があったりして、自分がとてもヤバい人になった気になりますね。今、想像しましたね? しましたよね? あなたも仲間です。



 一人称小説で、地の文とセリフにするところ、これ両方とも本人の声なんですね。心の声と体の声。

 でも、一人きりの部屋のシーンで、鍵カッコに囲まれた台詞の後に地の文の台詞がある、そういうものをたまに見かけます。この作者は敢えて独り言を言わせた後に、心の声も書いている……なぜ、そうする必要があったのか。


 心の声と、音声化された台詞、どちらも私は声に出して音読しますが、声色は変えます。を考えるためです。

 慣れている人は声に出して読まなくても感覚でわかるのでしょう。でも、もしも、そこに自信のない人がいるのなら、迷わず音読することをお勧めします。シロートの私でも気づけることがあるのですから!



 はっ……またシロート発言をしてしまったようだな。

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