終末を歌う微笑みの帝王 ~僕のせいで世界が滅びる物語~
@akababgreen
プロローグ
「――ありがとう」
彼女の
それ
全身傷だらけのやせ細った
薄い赤を
その表情は疲労と激痛にゆがみ、黒い瞳は光を失い、底なしの
そんな彼女の傷だらけの白く
彼女は僕の大切な人を死に追い込んだ
何千、何万という人を傷つけ、死に追いやり、世界に
彼女が死ねば、世界に平和がもたらされる。
そして僕は元の世界に帰ることができる。
傷つき、疲れ果てた今の彼女なら、僕にも簡単にそれができる。
いや、僕が直接手にかける必要すらない。
今彼女を取り囲む数千の大軍勢が、名のある英雄や戦士、魔法使いが、代わりに手を下してくれる。
僕はただこの場所を
それなのに彼女の
いや、違う。僕自身が無意識のうちに、ここから動くことを
――なぜ?
自身の投げかける問いに答えを返すより先、視界の先の彼女の半ば死んだような
次の瞬間何が起こるのか、僕は直ぐに理解した。
そして僕に伸ばされつつあった白く
勝負は一瞬、あれから7年、
そう、吸い込んだ息と共に覚悟を飲み込み、左足をつま先が外を向くようさりげなく
次の瞬間、彼女は
そうして向けられる彼女の瞳に映る、この世の全てを焼きつくさんばかりに強く、熱い決意の炎が、僕には肉食動物に追い込まれた草食動物の、おびえながらも勇気を振り
次の一瞬、地平の
わずかに残った薄闇を舞う赤い
これはかつて、あるたった一人の少女を守るという同じ目的を持ちながらぶつかりあい、ついに守るべきものを失ってしまった二人。
世界を滅ぼすほどの力と、世界を救うにふさわしい優しい心を持ちながら、世界を救う神様となれなかった二人の運命が、再び重なり合う瞬間を記した物語。
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