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奈々子から貰ったのはイチゴ味とブドウ味の二種類。なんでも近所のおっちゃんが沢山買ってくれたそうで、おすそ分けしてくれたのだ。半分は常盤さんへ出して、半分は後で俺も食べることにする。
イチゴ味を豆皿に出し、こちらはつまみとして、ブドウ味はグラスに半分ほど赤ワインと氷を入れ、その上にそっと置いた。
「これを食べるのかい?」
「まずはイチゴ味からどうぞ」
つまみとして出したイチゴ味を薦める。常盤さんはそれこそ少年のような表情でそれを口に含んだ。
「っ、わ、わわ、すごい。これは凄いよ花菱くん」
まさに少年だ。
「喜んで頂けて何よりです」
「面白いね、これ」
「それじゃぁ、次はこちらを」
常盤さんの前に赤ワインの入ったグラスを差し出す。
「これは?」
「こちらを注いで完成です」
そのグラスにゴールドの液体を注ぐ。綿菓子は瞬く間に溶け、赤ワインと混ざり合った。
「どうぞ」
マドラー代わりのストローで混ぜて常盤さんへ。注いだのはジンジャエールで、飲むとパチパチするキティが完成した。
作るのは初めて。美味しいかどうかは分からないけど。
「わ、こっちもパチパチするし、飲みやすい。君は凄いね、花菱くん」
「凄いのは私ではありません。こちらの駄菓子ですよ」
辛口の酒を好む常盤さんがこんな甘い酒を好んで飲むのは初めてかもしれない。初めての駄菓子を喜んでもらえたなら、その昔駄菓子好きだった俺としても嬉しい。
「んま」
店を閉めた後、残しておいた駄菓子で常盤さんと同じパチパチキティ(命名)を試飲してみた。
うーん。店の雰囲気とか考えるとレギュラーメニューには出来ないけど、しないのはちょっと勿体ないくらいに美味い。
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