侵略してイイノ?14話 親友
親友
僕は座り込んで、愕然としていた。珠樹が消えた……。もしかして、あの化け物に食べられた? それとも毒にやられて、敵のリンみたいに溶けた? と嫌な考えだけがよぎる。僕の周りに敵が迫る。見えているだけでも、10機、僕の後ろにもいるのだろう。だけど動けない。と言うか動く気力もない。ここで終わるのかな? いやだな……そう考えていると、周りの敵に矢が雨のように落ちて、後ろでは鉄を切り裂くような音が聞こえた。
「大丈夫ですの? 皐文、しっかりしなさいな」
後ろからの声に反応して振り返る、そこには喧嘩をよくする、六角がいた。
「だって珠樹が……」
僕は頭を抱える。
「珠樹ちゃんがどうしたの~?」
と代美の声。どうしても真実を伝えたくない。彼女も混乱するだろうから。僕も信じられていないし……。僕は頭が痛くなる。
「……なあ、今来たのだが流れが読めない。どういう事だ? と言うか、六角生きていたのか」
籠っていた神奈が、どこからともなく現れた。
「あんな程度でわたくしが死ぬわけないですわ! それはそうと、本当にしっかりしなさいな。何がありましたの」
「珠樹が、珠樹が! 消えちゃった」
と僕は涙を流しながら皆の前にウエストポーチを出し、皆を見上げる。六角は蒼白な顔になり、代美は泣き出し、神奈は何かを調べだした。
「な、なんでですの! 皐文あなたが付いていながら!」
と僕を責める六角、
「たまきちゃ~ん! たまきちゃ~ん!」
と泣き叫ぶ代美、そして、
「……いや、珠樹の反応はまだある! だが……、いろんな反応が混じっているな、後サモンエッグが3種を除いて、一個ずつ減っている、水、風、時が減ってないな」
と神奈が冷静に言う。って、へ?
「珠樹ちゃんの反応あるの? 何処? 何処!」
「……あれだ、あそこにいる化け物がそうだ。だが核になっているのが珠樹なだけで徐々に減っている。このままだと珠樹はあの化け物になってしまう」
僕は神奈の言葉に希望を持つ、親友を失いたくない! その一心で、立ち上がり、神奈の肩を持ち、
「どうすればいいんだい? 僕にできることなら何でもするよ!」
すると神奈は顔を曇らせ、
「……いや、今の皐文は休憩していてくれ」
そんな! と言う言葉も出なく、僕は崩れ落ちる。
「……私と六角があの化け物を抑える。そこに、今連絡を入れた焔と代美でお祓いをしてくれ、それで無理ならば、皐文に頼るかもな」
「ええ、解りましたわ」
と六角がこぶしを握り締めて、やる気を出している。
「うん~。分かったよ~」
と代美はそれだけ言うと、飛び上がった。そして、神奈は、僕の周りに歯車を置き、転移を開始。僕を珠樹の部屋に飛ばした。そのまま僕は気力が尽き倒れてしまった。
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