侵略してイイノ?13話 神奈の防衛戦

神奈の防衛戦


「……よし、これでネットワークに接続だ」

私は、思わず独り言をつぶやく、006号も停止しているというのに、それにしてもここまで私もよくやったと思う。こんなものを作り上げるなんて、本物と大差ないほどの見た目のはずだ。これさえあれば……。

私のこの体は本体との通信がなくとも動けるが、制限が多い。だから今はケーブルで本体と繋げていた。だがそれも今で終わる。ケーブルがあると行動範囲が狭まるため嫌なのだ。ネットワークに繋がった。するとこちらに攻撃が飛んできた。こちらの権限をすべて奪おうとする攻撃が。ん? どうやら普通のウイルスではなさそうだ。まるで意思を持っているようだった。成程、私は少し喜んでしまう。どうやら敵も精神をネットワークに入る力を持っているようだ。ならば私も入ってしまったほうが楽だと思いフルダイブを開始した。

久しぶりのネットの中。少し動きを確かめる。右手よし、左手よし、右足左足よし。他の機能も大丈夫っと、そして先ほど見た影を、偽物の方から探しに向かう。反応は確かにこちらにいる。

「……見つけた」

そう確信し、声を出すと、視覚的には何もなかった場所から人が姿を現した。

「私を見つけるとは大したものだわ。それにあなたも精神のデータ化ができるのね。……あなた、私の部下にならないかしら」

「……私は君と戦いたい。久しぶりの本気が出せるのだからな、それに……皆の為にここは勝たなくてはな。機械兵の皆が動けないのも可哀そうだ。この世界の為にもここでデリートする」

そう言い終わると私はショートカットで歯車を出して、敵はピアノの鍵盤ようなものを出す、それで演奏を開始した。

「私はピアノ! mabm-1のピアノ! あなたを消してあげるのだわ!」

「……そちらが名乗るならば私も名乗ろう。紀光神奈、それが私の名だ」

「紀光……ああ、機械至上世界でそんな名を聞いたことあるわね。確か、研究所の役員にいたはずだわ。魔術至上世界との戦争の後に姿を消したとか……」

そう言い終わると、敵は鍵盤を叩き始めた。しかし音はなく、しかしピアノの周りの何もない空間に剣のようなものが現れ、私を狙い飛ばしてくる。一瞬避けようかとも思ったが、後ろにあるデータを壊されるのは避けたいため、歯車に火を纏わせ大量にコピー、それによる防壁を張った。そのまま私は来た道に少しずつ、後退を開始する。その間も少しずつ反撃。冷気を纏った歯車を敵にぶつけるが効果なし。

「無駄だわ! 私のウォールはそう簡単に突破できないわ」

「……君も私を見くびり過ぎだ。こんな攻撃で私が満足するとでも?」

私はうまく目的地に着いた。そして、

「! 此処は! 逃げなくてはいけないのだわ!」

「……もう遅い! 同じくネットに意識を飛ばせるものが守っている領域に入るならもっと気を付けるべきだったな」

出口を封じ、ログアウトを禁止する。そして、

「……FIRE!」

一斉にデリートを開始する。私は作っておいた抜け道でログアウト、自分の攻撃で精神が壊れずに済んだ。その後、私はそのアプリを消去、これであの中に残されていたピアノも消えたことだろう。私はそのデータを確認せずに、ネットワークを回復させて、地上に向かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る