悪魔になってイイノ?5話 屋根歩きの理由

屋根歩きの理由


私達は何かを海の近くの町を探索していた。何かというのは、

「そういえば私たちは何を探せばいいんだろう?」

と皐文ちゃんに小声で言う。全員同じ格好をしているなら探しようがない。私はそれに冷静になってから気が付いた。それに対して皐文ちゃんは、

 「あっそれなら、後で念話するって言ってたよ。そろそろ来るんじゃないかな?」

と私たちは屋根の上で話していた。何故屋根の上で話していたかというと、頑なに皐文ちゃんが屋根から降りないからだ。

「なんで屋根の上歩きたいの?」

「いやー、僕の能力で魔力吸収があるんだけど、あれって魔力の元である奇跡を起こす力、奇力も吸収してしまうらしいんだ。だから敵の不意打ちに対して僕たちは弱いんだ。だからこうやって稲さんが運がよくなるように、屋根の上を通るべきなんだ。それに……って」

『皆聞こえますか? これからの作戦を説明します。私たちはこの町を覆っている黒これを黒い結界と呼称して、これを破壊するために動くべきかと思います。が、それと同時に敵の親玉も倒すべきです。そのために、まずは黒い結界を張っている物を確かめる必要がある、そうサターンは言ってます。なので、中央を調べているライル姉妹は注意深く探してもらえますか。また、中央だけとは限りませんので、皆も周りを詳しく見て下さい。一つとも限りません、それらしきものを見つけ次第念話で知らせて下さい。電話でも結構です。あっ後、悪魔憑きを一人鹵獲したいのですが、代美と神奈で何とかなりませんか?』

『わかったよ~。で、捕まえてどうするの~?』

『それはですね、多分悪魔を祓えるかと思うのですが、その間の記憶があるかどうかを調べたいのです。お願いできますか?』

『それならあたしがお祓いするよ~、けど神社に戻らないといけないけど~』

『ありがとうございます。ですが、神社に戻るなら、暇している焔にお祓いをお願いしてください』

『そうだね~、分かったよ~』

『ではお願いします』

「どうしたのかしら? 珠樹ちゃん、上手に屋根の上歩くのね。けど、危ないから下りておいで」

そう稲さんに言われ、私はいろんなものをつたう様にしながら降りていく。

「すみません心配をおかけして」

そう言うと、稲さんは、

「よろしい! じゃあ、一緒に小麦ちゃんを探してね。あと、まだあの子は上にいるのかしら? えーっと……」

と喜んでくれて、その後に少し悩む。

「ああ、皐文ちゃんですね。そうですね……、上からの偵察してくれているみたいです」

そう言うと、稲さんは、少し怒りながら、

「それはうれしいけど、あんな場所危ないわよ、下りて来るように言ったほうが良いかしら?」

「けど安全確認もしてくれてるので」

「そうなのよねー」

そう言うと少しため息を少しついて、

「まあ今は許すわ」

そう聞いて私は少しホッとした。それにしても悪魔憑きとは遭遇しないものの人一人遭遇しない。やっぱり……神社にいる人以外皆悪魔になったのかな……。そんなことを考えて歩いていると、

『珠樹、目の前の通りを右側から悪魔が急接近しているよ。数は二匹、いったん離れて変身してきて』

と皐文ちゃんが念話で声をかけてくれて、その後右側に雷が落ちた。稲さんが驚いている隙に私は急いで離れ、神奈ちゃんが用意してくれていた、変装システムを使い、変装かつ変身した。そして、

「そこの方、近くの物陰に隠れていてください」

そう稲さんに声をかけ、私は戦いに向かった。現場に着くと、すでに皐文ちゃんが戦っていた。

「皐文ちゃん、どうする? やっぱり追い払うのかな?」

「そうだね、追ってくるならどこかでまいて、戦意がないなら追い払うしかないかな」

「分かったよ」

そう言うと私は火のサモンエッグに火をつけ、サラマンダーを召喚、

「突撃開始!」

と突撃命令を与えると、理解したように、頷いて、悪魔に向かって走り出した。それにおびえるように悪魔はこちらを睨みつつ後退、距離が開くと、そのまま背を向けて退却した。

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