悪魔になってイイノ?4話 今までの経緯
今までの経緯
皐文ちゃんはおばあちゃんを見つけると、一目散に走り、
「おばあちゃん!」
と抱き着いた。
「ん? 皐文ちゃんやん、お帰り。無事やったんな、良かったわぁ」
と涙ぐみながら、皐文ちゃんの頭をなでるおばあちゃん。
「それにしても伊佐のぼうずも私に説明させるのも大概にしてもらわんとな。まああの子は神主さんやけど、私はそろそろ天からお迎えが来るかもしれんのに」
「そんなこと言わないで、長生きしてよ」
「せやな、お爺ちゃんが寂しがるけど、皐文ちゃんの頼みやったらしょうないな。じゃあ、まあ、この町で何があったんか話そうか。まずな、あんたらが船を出した後に、黒い何かが空を覆ってな、まあ覆われたのは町のほうやってんけど、それで、どこからともなく黒い鎧を着たような子が現れてな、人に斬りかかりよってん。その子に斬られた子が、その黒い鎧を装着させられて、次々に人を襲い始めてな、それもまた人を襲い始めて、町はもう大混乱や。何がなんやらしっちゃかめっちゃか。その前に、結界張っとった伊佐のぼうずが皆にここに避難するよう言ったわけや」
そこまで話すと皐文ちゃんのおばあちゃんはお茶を飲みだした。
「……やはり悪魔か、そうなると、皆倒さねばならないのか?」
と小部屋ちゃんとサターンに向かって神奈ちゃんが聞いた。
「いやぁ、親玉を倒せば、ここに留まる力と意味を失って、そのまま帰るよぉ」
「成程、分かったよ。で、何か見分ける方法はあるのかな? 例えば色が違って角が生えているとか」
「それが……、ないのよぉ。違いはあるけど内面的な違いしかないそんな感じかなぁ」
「……では判別不明の敵の親玉を探さなくてはならないのか。ならば、正体に心当たりはあるか?」
私はやっぱりあの子だと思う、けど確証がない、けど、
「はい、心当たりならあるよ。あくまでも心当たりだけど」
「……珠樹本当か? 是非教えてくれ」
そうなると小麦ちゃんが退治されるのかな……でも、皆の命を助けるには……。
「……うん、多分あれは小麦ちゃんだと思うんだ。悪魔に取りつかれてしまった私の友達。たしか前戦った時、あんな感じの鎧みたいなものつけてたからね、あとあの鉤爪に見覚えもあるし」
と私が答えると、
「小麦って子なのね」
「うん」
「成程。なら、家に行ってみるのはどうかしら? 何かしら手掛かりがあると思うわよ」
と何度か戦っているプリマさんが答える。
「いいえ、帰ってきてないわ」
といきなり私たちの後ろから声が聞こえた。後ろを振り向くと、稲さんがいた。
「私が家に居てた時、小麦ちゃんは戻ってきてないわ」
「あ、お姉さん! ど、どこから聞いてました?」
「小麦ちゃんの説明をしている時ぐらいかしら」
それを聞いて私は胸をなでおろす。
「それでうちの小麦ちゃんがどうかしたの?」
「ううん、友達だから、探しに行こうかと思って」
と皐文ちゃんがフォローしてくれた。
「なら私も行くわ。いいでしょ?」
そこに、詩織ちゃんが帰ってきて、周りの話を聞き、皐文ちゃんのお婆ちゃんにも話してから、
「じゃあ手分けして探しましょう。珠樹と皐文は稲さんと海近辺の市街地へ、代美と神奈は山の近くの市街地へ、私とサターンは高所から探します。ライル姉妹は平野の市街地をお願いします」
「うん」「わかったよ」「は~い」「……分かった」「ああ」「ええ」「わかったわよ」
皆が同意して、四組とも違う方向に向かって歩き出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます