魔法少女でイイノ?9話 皐文と遊ぶ

皐文と遊ぶ


「で今日はどうする?」

学校からの帰り道、皐文ちゃんが訊いてきた。代美ちゃんと神奈ちゃんは用事があるらしく、今回は二人で遊ぼうという話になった。

「あれとかどうかな? 空闘、私いろいろ考えてきたんだ」

「いいよ、けどあの二人がいないとチーム戦でランダム対戦できないよ。それともタイマン戦の勝利数競う?」

「ううん、久しぶりに私と皐文ちゃんで戦おうよ」

「いいけど、珠樹、僕に勝てると思ってるのかな?」

「今回は勝つよ!」

そんな会話の後私達は一旦別れて、家に帰った後、皐文ちゃんの家に行った。皐文ちゃんはお兄ちゃんがゲーム好きで空闘の機械を持っている。頭にヘルメット型の機械をセット、これで脳波が機械の方に流れ、ゲームを楽しめる。セッティング画面が現れる。空闘は空を飛びながら戦う対戦ゲーム、私は装備をセット、刀を装備、副装備を召喚札にして、これは札から獣が出てきて敵に向かって飛んでいくという代物、それで挑むことにした。

戦闘画面に飛ぶ、皐文ちゃんも準備万端らしくいつも通り刀を装備、しかし副装備は分からない。

「あれ珠樹、装備変えたんだ。いつもだと槍だよね、でも今回は僕と同じ刀だね」

「うん、そうだね。けど私のは属性は水だよ。皐文ちゃんのは雷だよね?」

「そうだよ、伝説級の武器雷切、立花道雪戦で勝った証なんだ、珠樹だって槍は蜻蛉切だったよね? あれもボス撃破ドロップでしょ? 何で刀に?」

「私のは武将級なんだけど、西蓮って言う島津義弘を倒した時に手に入るやつだよ。前から練習はしていたんだけど、お披露目したいなーって思って」

「それ、世間では伝説級並みって言われるほど強い奴だよ。なら相手にとって不足無しだね、行くよ!」

法螺笛が鳴る、戦闘開始だ、まず私は札を前にかざして鳥を飛ばす。皐文ちゃんも何か勾玉が二つくっついた様な物を前にかざす。するとその二つは回転しながら離れて行く、そしてその勾玉の間にエネルギーが集まっていく。私は危ないと感じ、上昇しながら鳥を放つ。

「いい判断だね、でもこれは向き変えられるんだ!」

「その前に鳥が到達して落としちゃうよ!」

鳥達はもう到達寸前、これなら大ダメージだ! そう思っていたんだけど、皐文ちゃんは刀を抜いて鳥達を一蹴した。

「え、チャージ中なのに動けるの?」

「この武器は新しい武器、神話級の武器、八尺瓊勾玉だよ、チャージを中断して行動できるって武器なんだ向きも変えれるし強い武器なんだ」

あのチャージ時間長い、防御しても落とされそう、じゃあ接近戦かな、私は鳥を出しながら接近を開始、と見せかけて、皐文ちゃんが鳥を切った瞬間に下から後ろに回り斬りつけようとしたしかし、

「あまい!」

そう言うとこちらに振り向き、刀で止められる。私は上に逃げて、札の残量を確認、あと五発、そのあとチャージだがチャージには5秒かかる、その隙にチャージされたらまずい、ならば、五発撃って再度接近、鳥は相変わらず斬り落とされて消えてゆく、そして刀の打ち合い、かと思いきや皐文ちゃんはさっきの勾玉を構えた。チャージかなと思いきや小さな光の道が出来て、その数十倍の大きさの雷が襲ってきた。それを避ける事が出来ず私は落ちてしまった。

「うう、負けた」

「へへん、僕の勝ちだね!」

「もう一戦やってよ」

私は一発もダメージを与える事が出来ず負けたのがとても悔しかった。やっぱり皐文ちゃんは強いな……。

「いいよもう一戦やろう!」

私達は夕方になるまでゲームを続け、私は一撃も攻撃を当てる事なくお開きになってしまった。


回避


家に向かう道、その途中で

「セクーンの反応を探知したわ、行くわよ!」

ルシが迎えに来ていた。

「え? あと1時間で門限なんだけど」

「大丈夫、1時間あれば帰れるわ」

そんな……ギリギリに帰るのヤなんだけどな、まあやるしか無いからやるかな。

「嫌そうな顔してないで行くわよ」

「う、うん」

渋々付いていこうとすると、空を何かが飛んで行くのが見えた。それを見たルシは、

「ああ、あれは白い子とシルフィーユね、反応の一つも向こうの方だったわね、逆方向にも反応あったからそっちにする?」

私を気遣ってルシが訊いてくる、確かに今はあの事当たりたくないな。だから

「うん、そうしよ」

私達は成水達と逆方向に飛んだ。

着いた場所は小さな病院の上、そこにハーピィは現れていた。そして病院に入ろうとしているので、風のサモンエッグを掲げる。それはブーメランになり、それを私はハーピィに向かって投げつけた。しかしハーピィも風の切る音や、着地音で気がついたようで、こちらを見つめ、

「ピィイイイイイイイイ!」

と鳴き始めた。あまりにも五月蝿いので耳をふさいでしまった。しかしブーメランは普通に当たり、ハーピィは真っ二つになって消えていった。ハーピィが居た処にはセクーンが落ちていた。私が拾うとルシが、

「早くここを離れた方がいいわね……」

「分かったよ。あの子がくるんだね。早く逃げよう」

「そうね」

私は人が居ない道を高速低空飛行で帰っていった。

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