魔法少女でイイノ?7話 操りと代償

操りと代償


今日は学校に来たけど、ずっとボーっとしていた。皆は事故で両親を亡くしたショックだろうと思っていてくれていたけど、本当は昨日の白い女の子を斬ってしまった事を引きずっていた。途中で六角さんが話しかけてきて、そこに皐文ちゃんが駆け寄り喧嘩勃発。けど私は空を見つめていた。

帰り道、皆はなぜかいつもの帰り道から逸れて行った。私はそのまま帰ろうとしたけど、皐文ちゃんに、

「ちょっと何処行くんだよ、こっちだよ!」

と言われ、渋々ついて行くことにした。

「どこ行くの?」

私は気になり聞いてみる。すると皐文ちゃんは少し呆れ気味で、

「さっき言ったよ。僕達の友達に会いに行くんだよ」

「え、私も行くの? 皐文ちゃんと代美ちゃん、神奈ちゃんの友達だよね?」

その答えは私の後ろを歩いていた神奈ちゃんから聞けた。

「大丈夫だ、問題ない、なぜなら前もって連絡はしているから……。それに彼女も会いたがっている」

なるほど、けどどんな子なんだろう、なぜか一瞬白い子を思い浮かんだのだけど、それはないだろうと思い直した。三人に着いて行くと、豪邸の大きさの廃墟があった。そして三人はそこに入って行こうとするので私は、

「ね、ねえここに入るの? 危なそうだよ、廃墟みたいだよ、ほら玄関の扉ないし、窓は割れているし」

「うん、ここだよ」

皐文ちゃんは頷く、それに続いて神奈ちゃんも、

「……ここは昔の私の家、今は彼女たちに貸している」

3人とも普通に入って行く、しかたがないので私も入って行く、すると中はとても奇麗で廃墟の中だとは思えなかった。そして入ったところにメイドさんが居た。

「いらっしゃいませ、日向様、伊佐様、紀光様、そしてはじめまして、飯野珠樹さま。わたくしはお嬢様のメイドをしています、安藤 美智でございます。さあこちらにどうぞ、今皆さまが来た事をお嬢様にお知らせしてきます」

とソファに案内された。けど座ったのは私だけで、他のみんなは、

「ちょっと探索に行ってくる!」

「……懐かしい」

「あたしも行く~」

と言って階段を上がって行くので私も続こうと思って立ち上がると、さっきのメイドさんがやってきて、

「ではどうぞこちらに来てください」

これ、私だけで行っていいのかな? よくないよね。

「あの……3人がちょっと探索に行っちゃって、少し待ってもらえますか?」

「あら、あの三人ならお嬢様の場所が解りますので大丈夫ですよ。さあこちらに」

「……はい」

私は安藤さんについて行った。何度も道を曲がり、何度も階段を上がり下りを繰り返し、私が来た道が解らなくなり、数分歩いた頃に部屋に着いた。

「こちらです」

ドアが開いて、私は中に入る、

「ではお楽しみくださいませ、お嬢様」

「私はそこまで悪趣味じゃありません、ですが……楽しむとしましょう」

急にドアが閉まり、寝ていた彼女は顔を挙げる。その顔は見た事ある、そして今謝りたい相手白い女の子だった。そして彼女は言葉を作った。

「昨日ぶりですね、飯野珠樹さん、私は成水詩織です。今日は話し合いをと思いましてここに席を用意しました」

「な、何で皐文ちゃん達と知り合いなの? 何で私の名前を知っているの!」

「あの子達は少し操らせてもらい、記憶も見せてもらいました、彼女達はもう帰路についているでしょう。ここまで来た記憶を忘れて」

「そ、そうなんだ……3人とも大丈夫なんだよね!」

「それは保証します」

「解ったよ、それで話って何? 私達の戦いは話し合いで解決できるの?」

「私の一方的な説得です。それで聞いてもらえないなら私も踏み切りがつくからですね、あなたを殺すと言う事に」

「分かったよ。じゃあ聞くよ、でもその前に……ゴメンナサイ! 私あなたを斬りつけてしまって」

私は謝罪をした。しかし彼女はキョトンとした顔をして、

「あなたは傷つける覚悟も無く戦っていたのですか? フフフ、まあいいでしょう、それにあれは私の判断ミスです。少し驚きましたが。では、あなたの集めている物、セクーンと呼ばれる物ですが、世界を滅ぼす力を持っています。正しく言うと、それを使って開けられるパンドラの箱の中身の話なのですが。だからルシフェルに何と言われて集めているのか知りませんが、今すぐ辞めてもらいたいのです」

「ルシフェルは誰か分からないし、セクーンを集めたら願いがかなうって聞いたから集めてるだけだから、パンドラの箱を開けるつもりもない、だから見逃して!」

私は頭を下げてお願いをした。けど彼女は、

「あなたの近くにいつもいた妖精の様な人間がルシフェルです。それにセクーンを集めても何も奇跡は起きません」

「そんなことないもん! 叶うもん! お父さんもお母さんも帰ってくるもん! だから、お願いします!」

「……分かりました」

「見逃してくれるの!?」

「いいえ、あなたは私の敵です、死んでください!」

その声が聞こえた直後、槍が飛んできた。私は変身しながら回避、サモンエッグを構える。右手にサモンエッグ、左手にライターを構えライターに火を灯す。その炎でサモンエッグに火を付ける。

「行ってサラマンダー!」

全体に火のついたサモンエッグは地面に落され、燃え始めた、その場で燃えているかの様に見えたけど、いきなり成水の方に向かい走りだした、トカゲの様な形にどんどん変化して向かっていく。しかし成水は避けようともせずその炎を見つめていた、その隙に私は大量にサラマンダーを召喚していく。残り数センチぐらいまで来た時に、

「この程度の攻撃、私が動くまでもありません」

まるで小さい竜巻が起きたかのように、成水の周りを炎が回りその炎がこちらに飛んできた。

「そんな! サラマンダーが! って逃げないと」

左に飛び回避を試みるけど、まだ追ってくる。水筒を走りながら取り出し青いサモンエッグに水をかけ床に落とす。すると魚の形をした水の塊になり、飛んできたサラマンダーに当たった。そしてその双方は消えてしまい、私は成水の方に向きなおした。成水は一歩も動いていないはずなのに、槍をもっていた。

「何これ、私の疲れ損だよ……」

今の時間だと暗くないから闇の刀を作れない、ならばまた青いサモンエッグを取り出して水をかけるするとそのサモンエッグは魚の形ではなく小太刀の様な、氷でできた刃物になる、その直後成水の方を見るとまたもや槍をこっちに投げてきた。何とか左に転がって回避、したつもりが右肩に接近、これ以上体を動かそうにもこの瞬間じゃ右にも左にも避けられない。だから、

「痛い!」

次の瞬間私は天井にぶつかっていた。軽く反重力をして、体の部分部分で反重力を使い上手く天井に大の字でぶつかった。そのまま天井で起き上がり? そのまま成水の方向に走る。走りだした時に成水の手が光り、槍が握られた。どうやら召喚魔法の一つらしい。私は天井から縦に回転しながらジャンプして、重力を元に戻した。それと同時小太刀を振り下げ斬り付けた。がやっぱり槍でガードされる。ここで着地、鉄でできている槍に向かって金色のサモンエッグを当てて槍を吸収、そしてサモンエッグは巨大なハンマーになった。

「吹き飛べー!」

私はハンマーで横から成水を叩き、窓の方へ飛ばした、ハンマーからは何か金属と金属がぶつかる音がして、ダメージ入らなかったみたいだけど、ガラスにぶつかって地面に転がった時に少しはダメージを受けていることを祈って、外に戦いの場を移したら逃げれる。そう考えていた。しかし、窓は勝手に割れて成水は空を飛んで姿をくらました。

「これなら逃げれるかな?」

私は上に警戒しながら外に出た。しかし上からではなく、右から左に風が流れていた。今日はそんなに風は強くなかったはずなので風の吹いてくる方を見て、何もないことを確認してから、風の流れていく方向を向くと、そこには葉っぱや小石などが成水の前で上下左右に回っていてまるで球体の風があるように舞っていた。葉っぱや小石の動く範囲を見るにそれは1mを軽く超えている。

「ならば先に攻撃して、あれを破壊するればいいよね?」

私は黄色のサモンエッグにスタンガンを当て発電させる。するとそれは犬の形の雷になり成水に向かって突進する。その隙に私は足元に木の棒が落ちている事を確認、なかなか大きく、躓かないように木の近くに逃げる。そして雷は当たったかのように見えた。だが実際は風の塊には当たったのだが、そのまま風に吸収されていた。

「へ?」

中には鉄なども入っていたらしく、まだ風の中でゴロゴロいっている。そしてそれはこちらに向かって放たれた。風の塊がこちらに向かってくる。

「なら、この木を吸収して、盾にすれば!」

「いい判断ですね、ですが、あなたにそれが出来るでしょうか?」

「え?」

木に緑のサモンエッグを投げつけ吸収、しかし出て来たのは同じ木、その木は粉々にされ、そのまま風は私に向かってきた。感電、礫が大量に当たり、トゲは服のおかげで刺さりはしなかったが、もう服もボロボロ、もう動ける状態じゃなかった。ハンマーも遠くに飛ばされ、もう終わりかな……ごめんねお兄ちゃんお姉ちゃん達、と何処かで考え始める。すると、左から雷が飛んでき、成水に当たった。感電こそしてないけど、ダメージは入ったみたいで、服が少しすすけている。彼女が左に向いた瞬間私は近くの茂みに誰かにより引っ張られた。そして私はそこで気を失った。


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