魔法少女でイイノ?2話 事件発生

夜の町


 家の前に着くと、嫌いな叔父が出てきた。

「けっ! なにが自分らでできるだ!」

そう言い残すと叔父は帰って行った。私は家に入ると、お兄ちゃんは料理を作っていた。

「お帰り、ちょっと待ってな。今オムライス作ってるから」

「ただいま、お兄ちゃん、オムライスなの? わぁー美味しそう! 私手、洗ってくるね」

そして二人で夕食を食べて、少し散歩に行ってくるとウソをついて、すごく反対をされたけど、家の周り一周だけと言ったら何とか納得してくれた。外に出ると、どこからかさっきの妖精が現れて、

「私を探しに行くつもりだったようね、いい子ね、けど私はあなたがどこにいるかそのブレスレットでわかるから大丈夫よ」

私は少しでも家から離れようと、近くの海の公園に向かった。

「へーなるほど、で、私はどうすればいいの? あなたの名前は?」

「忘れていたわ、私はルシフィーユ覚えておいてね。あなたの戦うのはハーピィと呼ばれる人を不幸にするものよ。例えば、闘病中の人の前に降りてきて、その病気を悪化させたり、地中に降りて、火山を噴火させたり、地震を起こしたりするのよ」

「そ、そうなんだ、でもそんな生き物がいるならニュースになってるんじゃないのかな?」

「普通の人には見えないのよ、だって霊体だもの。お化けとか見た事あるでしょう?」

「うん、周りのみんなは信じてくれなかったけど、あるよ」

「それが霊体生物なのよ、普通の人間には見えない、摩訶不思議生物とでも思ってくれていればいいわ」

「わ、わかった、で私はそのハーピィをやっつければいいんだね」

「そうね、ハーピィをやっつけてセクーンを手に入れて頂戴。36個全部集めたら願いはかなうわよ。それこそ人を生きかえらせる事とかね」

「でも、あなたもセクーンを集めて願いを叶えたいんじゃないの?」

「それなら大丈夫よ、私はあれの回収をしたいだけなのよあんな危ないもの地上ハーピィに持たしておくのは危ないと考えた私の上司が回収を命じたの。私達はあれには触れられないから誰かに助けてもらって、その魔力をゼロにして持ち帰れって、つまり魔力を使ってその子の願いを叶えてから持ち帰るという話よ」

「へぇーわかった。じゃあさっそくハーピィを探しに行こうよ、あと魔法も教えて!」

「いいわよ、じゃあ近場に降りてきそうなのはこっちね、魔法については行きながら説明するわ」

そう言うと、こっちよ。と指差した方に行くことにしたの、でもさっきから行こうとしていた方向と同じだった。

「まず魔法は基本誰でも使えるものなのよ、努力で魔力を増やすこともできるわ。で、魔法は願いの力なのよ。願いをかなえる時にどうしても上手くいかない、確率が低い、そんな時に上手くようになった時は自分で魔法を使っているのよ。まあ、失敗する場合は魔力が低かったり、相手の魔力の方が多かったりということね。不幸な人間は魔力が足りないってことよ今までの説明で解らないところは有るかしら?」

「えっと魔力のない人間っているのかな?後そういうことなら、皆ハーピィも見えるんじゃないの?」

単なる知的好奇心と、矛盾っぽい事について聞いてみた。

「そうね、魔力のない人間は普通いないわよ。だって、魔力がないと奇跡は起きない、魔力無しで生まれて来た場合って人間は簡単に死んでしまうわよ? それこそ一生誰かに思い続けてもらった人間じゃないとね。それに人が生まれること自体奇跡に近いからね、魔力を持ってない子はいないわ。あと、私やハーピィが見えるとかは別ね。これに至っては才能だから、霊感の強い人間ね」

「なるほど、じゃあどうやって魔法は使うの?」

「簡単よ、願う事が力になるのよ。他には願う形を物に書いて、そこに魔力を送り込むことで使えるわよ」

「へー、じゃあ私は魔力高いのかな? けど、魔力なんてものがあるなら皆魔法使うんじゃないのかな」

「皆知らないわよ? 魔力の存在なんて、魔力の存在を知ったところで、魔力を魔法に変換するまでの魔力流の開け方は人によって違うのよ。あなたの場合、魔力流が出来てるから願うだけで使えるのだけど、人に自分の魔法を教えるのも難しいのよ、魔法は手間の割には、見返りが少ない、そのせいで機械に淘汰されて消えていった、魔法を使うより、奇跡のために地道にためていた方がいいのよ。あとあなたの魔力は高いわね、通常の1.5倍は有るもの、けど魔法使いになるにはギリギリなんだけどね」

「な、なるほど……じゃあ私は時代を逆行した力を使うんだね。けど私も魔力使い過ぎたら、奇跡が起きなくなっちゃうわけだよね?」

「そうよ、だからさっきのリングをあげたのよ。あれは魔力を最大魔力容量の10%を1分に一度回復する道具なのよ。あと服装とかも変わったりするわ」

私は腕につけている、もらったリングを見つめる。

「へーなるほど。魔法少女みたいなものかな? それに奇跡が使い放題なの?」

「そうでもないのよ、なぜなら奇跡自体は自動でしか発動しないし、魔力流って言う魔力の通る道が開いてしまった後は、大半が魔法に回されるのよ」

「へー大体わかったよ。けど魔法の使い方がいまいちわからないんだけど……」

「そうね……魔法を使いたい時に魔法が成功した姿を想像するのが一番いいわね、出したい物を言ってみるのも手よ」

「う、うんじゃあ着いたらやってみるよ。で、どこ向かっているの?」

「もう着くわ、海の公園よ。あそこでハーピィの位置を探るのよ」

「解ったよ」

私達は公園に着いてルシフィーユは探索を開始した。私は近くにあったベンチに座って手の中に火を熾そうと頑張ってみたが、熾きない。そして、その隙を突かれて何者かによって口を押さえられ、連れて行かれた。


誘拐と覚醒


私はロープでグルグル巻きにされ床に放り出されていた。口にガムテープが張られ、全く動けない、喋れないそんな状況だ。犯人の顔は解らない、目も防がれているから、ただ音は聞こえた。犯人は誰かに電話をしているようだ。

「そうだ、金をよこせばお前の妹は返してやる! ああ、今から言う場所に金を持ってこい、ふん! お前らの人生など知った事か!」

 そう言うと犯人は電話を切った。


 救援を呼ぶシルフィーユ


珠樹は廃墟内でロープでグルグル巻きにされ床に放り出されていた。口にガムテープが張られ、全く動けない状況だった。それを見たルシフィーユは、

「助けを呼ぼうかしら、この街には4人の魔法使いが居るようね。通信してみましょう」

ルシフィーユは念話を送る、この街の大きな魔力の持ち主4人に。

「新しい魔法少女、珠樹がピンチなのよ、誰か助けにきて。報酬は、永魔のリングでどう?」

すると1分もしないうちに4人全員から返信が来た。

「いい、報酬はいらない。私達が二人が行く」

と少し内陸になった森から反応があった二人の魔法使いからの返事だった。そしてもう二人からの返事は、

「私達がその話貰います」

 と短い言葉で言われていた。此方は街中の二人が連名の返事だ。

「これで大丈夫かしら?」

ルシフィーユは公園の近くにあった廃墟とその周りにいる人たちを見下ろしながら安堵し、とりあえず本人にも動いてもらうように念話を送ることにした。


珠樹の初戦闘


(強い自分を想像しなさい、またはロープが切れる想像をするのよ!)

ルシフィーユが脳に語りかけてくる。強い自分、こんなロープも絶ち切れるほど強い自分を、そして願う、そんな自分になれるように、そんな力が手に入るように。すると体の中に新しい力が流れ出した。力が湧きでるような気分になり、少し力を入れただけでロープは切れてしまった。そしてガムテープを外しアイマスクも外した。そして見えた犯人の姿はやっぱり大嫌いな叔父さんだった。

「だ、誰だ! ロープをほどいたのは!」

「私が引き千切ったんだよ、ねえ、どうしてこんなことするの?」

私は叔父さんに近づく、すると果物ナイフを取り出して、

「く、来るな!それ以上来たら刺すぞ!」

私は足に魔力を集中させ地面を蹴る、すると一瞬で懐に入れた、そして思いっきり拳を振り上げ、叔父さんの顎にヒットする。

「ぐぁ!!」

そのまま叔父さんは気絶してしまった。私は叔父さんの心臓が動いていて、しかし肉体は動かない事を確認すると、その廃墟から出た。その周りにも叔父さんのように倒れている人が沢山いて私は急いで帰ってしまった。


ルシフィーユと援軍


「帰ったわよ、あんた達、はい報酬よ。にしても何であの子に見られたくなかったの?」

4人は顔を見合わせた。そしてそのうちの一人が、

「あの子には死んでもらいたくなかったのよ、あと私達があそこにいるのはあの子には内緒だし、あなた達もそうでしょう?」

残りの2人はうなずいた。

「……詳しくは話を聞かないけど、あの子は恵まれてるわね」

二人は永魔のリングを受け取ると帰って行った。後の二人も何も言わずに帰ってしまい、

「私も珠樹の家に行こうかしら」


珠樹の恐怖


私は家に着くと、お兄ちゃんに挨拶もせず部屋にこもって、布団にくるまっていた。誘拐された事が怖くて、そして嫌いといえども叔父さんがあんなことするとは思わなかったからその恐怖でおびえていた。すると、お兄ちゃんがドアをノックして、

「入るぞ」

と入って来た。

「どうしたんだ? 家に帰って来たなら一言声をかけてくれよ……」

私はいつの間にか泣いていたようで、枕が濡れている。

「すまんな、すぐ助け行けなくて」」

お兄ちゃんが真面目な顔で言う。

「お、叔父さんが! ふぇ、ふぇ~ん」

ついに声が出てしまい、お兄ちゃんに抱きついてしまった。

「ゆっくり落ち着いてからでいいから話してくれ……な?」

私はその言葉に頷く、お兄ちゃんは下に降りて行って、私はティッシュを取って鼻をかんでいた。しばらくするとお兄ちゃんはスポーツドリンクを持って上がって来た。それを私は貰うと、少し落ち着きを取り戻した。

「話せそうか?」

「うん」

私はそう答えると、さっきまで公園にいて、その後叔父さんにさらわれて、何とか逃げ出して帰って来た事を伝えた。魔法の事はぼかしながら、

「なるほどな、あの話を断ったからか、悪い叔父だ。今から警察に電話かけて、そこを調べてもらうか」

しかし誰かによってもう通報されていたようで、お兄ちゃんがかけた頃には警察は叔父さんを逮捕していた。周りにいた人たちも共犯だったらしくまとめて逮捕されたらしい。

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