魔法少女でイイノ?

月読雨月

魔法少女でイイノ?

魔法少女でイイノ?1話 妖精との遭遇

 野望


ここから抜け出そう、あの人のために、そのためには自分の肉体をあの箱から救出しなくては、そう考えて早100年、未だに私が見えても純粋で自分の欲が強い人間を見つけていない、腹が立つ、闇のように暗いボールを手のひらの上に作り、高速道路にぶつけて、

「私の力もここまで落ちたなんて最悪だわ、早くあの箱を開けないと!」

高速道路はボロボロになっていたが、私の力ではこの一帯を吹き飛ばす筈だった。


元凶の夜    


肌寒い季節がやってきて12月。もう夜中の12時なのに親が返ってこない、夜7時には帰ると言っていたのに、ちょっと泣きそうになりながら私、飯野 珠樹は椅子に座っている。隣にはお兄ちゃんもいる。お兄ちゃんは先に寝ていいよ。と言ったが私はお母さんやお父さんの帰りをリビングで待っていたくて、最初は、お土産なんかを期待し、ウキウキしながらソファーに座ったり、リビングを歩いたり、けど、少しずつなんだか胸騒ぎがしてきていたところだった。

「眠くないか?」

お兄ちゃんはココアを持って来てくれ、それは湯気が立っており、暖かそうだなーっと見てわかった。

「ありがとう、まだ眠くないよ」

ココアを受け取り口を付ける、暖かくてとても美味しかった。

「そうか、えらいな。それにしても二人とも遅いな……」

電話が鳴る、こんな遅くに? お兄ちゃんも不思議そうにしながら、電話を取りに行ってくれた。

「もしもし、飯野ですが、え? はい、そ、そんな! 解りました、自分が行きます」

お兄ちゃんは電話を置いて私の方に振り返り真剣な面持ちで言った。

「お父さんとお母さんが、事故に巻き込まれて……亡くなったそうだ」

そこで私の意識は途切れてしまう……。


次の日、私は目を覚ますとベットの上にいた。そしてお婆ちゃんが来て、

「珠樹、黒い服は有るかい?」

「あ、あるよお婆ちゃん、どうして私の家にいるの?」

お婆ちゃんの家は隣の街に住んでいるけど、今日来るなんて話には聞いていない、お婆ちゃんは話を続けた。

「今日はお通夜なんだよ、珠樹のお父さんとお母さんの……だから黒い服に着替えて居間においで」

「う、うん」

本当は理解していたんだけどいやだった、信じたくなかった。だから聞いてしまった。黒い服に着替え、下に降りると、お父さんのお爺ちゃんお婆ちゃん、お母さんのお爺ちゃんさっき服の話をしてくれたお婆ちゃん、大嫌いな叔父さん、そしてお兄ちゃんがいた。叔父さん以外は泣いていた。しばらくすると葬儀の人たちがやってきて、火葬場に通された。ひどい事故だったんだね。とお婆ちゃんたちは言う、私には実感がなく、けどエンエンと泣いていた。そしてお通夜も葬式も過ぎ、お姉ちゃん達からメールも来て、(3日後には帰れる、という内容と、励ましのメールだった)やっと家が落ち着いた時にインターフォンが鳴った。


友達と力


インターフォンはお兄ちゃんが出てくれて、玄関が開いて入って来たのは、3人の友達、代美ちゃんと皐文ちゃん、神奈ちゃんだった。

「珠樹ちゃん……大丈夫? 髪ボサボサだよ~」

代美ちゃんが髪を梳かしてくれる。

「珠樹、来たよ。あ、お菓子も持って来たんだ」

皐文ちゃんはいつもの元気がなくて此方に気を使ってくれているのが解っているんだけど、それもちょっとつらい。

「……珠樹、元気出して、皆心配なんだ」

神奈ちゃんはいつも通り冷静な感じだったけど、何処か私に遠慮しているのが解ったんだ。だけど私は、

「ありがとう、でも一人にしといて」

やっぱり辛くて、皆に話を聞いてもらっても、仕方ないな……っと思いながら帰るように促した。

「「「……」」」

しかし、3人は、

「もう、見てらんないよ! そうだ! 外行こう! 外」

皐文が代美ちゃんに連れていくよと合図を送っている。

「……いいね、外に出ると日光のおかげで元気が出るかも」

神奈ちゃんは眼鏡をあげながらアホ毛をピコピコさしている。

「え?外に出るのは嫌なんだけど」

だって、凄く眩しいし、と繋げようとしたんだけど、

「知らないよ~行くよ~」

と皐文ちゃんが提案した外に行くは、代美ちゃんが私を抱えて連れて行かれると言う形で実行されてた。外はまぶしくて、目をつぶるほどだったけど、少しずつ慣れてき、少し明るい気持ちになった。

「公園に着いたよ~」

代美ちゃんそう言いながら降ろした。少しはましになったけどやっぱり悲しいものは悲しい、公園に降ろしてもらった瞬間私は泣いてしまった。皐文ちゃんは背中を擦ってくれて、代美ちゃんは後ろから抱きついてくれ、神奈ちゃんは涙を偶に拭ってくれた。数分たって私が落ち着くと、

「ねえ、鬼ごっこしようよ! 暗くなってる時こそ体を動かすべきなんだよ!」

うーんそんな気分にはならないんだけど……と思ったんだけど皆は私の事を心配して言ってくれているからしたくないなんて言うわけにもいかず、

「その通り、運動は精神面にもいい。私も大変な時は皐文に誘ってらった」

確か神奈ちゃんはお父さんが亡くなったんだっけ? 私はそのあとに仲良くなったから知らなかったけど、確か皐文ちゃんと、代美ちゃんが言ってたような、

「あたしは苦手だから買い物行ってくるよ~」

代美ちゃんは力持ちで弓道や剣道は得意なんだけど、走るのは苦手なんだって。

「じゃあ僕が鬼だよ!」

皐文はそう言うと後ろを向いて数を数えだした。代美ちゃんは買い物に行き、神奈ちゃんは素早く何処かに行ってしまう、私は茂みの裏に隠れるととそこに小さな、本当に小さな女性が現れた。

「ねえ、あなた叶えたい願いはない?」

そう声を発した彼女は、背丈は17センチぐらい、羽が生えている、浮いている。私は目をこすり、まばたきをし、自分の目を疑った。

「私どうかしちゃったのかな? 見えちゃいけない物が見えてるよ……」

と、とりあえず無視しようかな? 妖精は怒っているが私は聞こえないふり、すると今度は顔を押さえられて、

「ね、見えてるでしょう? 私はここにいるのよ。だから話を聞きなさい」

顔に触られている感触はあるし、声も聞こえる、これは現実なの? 

「で、叶えたい願いは? 例えばだれにも負けない力がほしいとか、だれにも負けない知力がほしいとか、運動がうまくなりたいとか、あの世から人を連れ戻したいとか、そんな願いを私が叶えてあげられるわよ」

胸を張って私をどや顔で見てくる。

「え? 人を生き返らせられるの? どど、どうやるの?」

目を白黒させながら尋ねる、そんなことが可能なの?

「ふふん、簡単な事よ。私の力で蘇らしてあげるって言うのよ」

妖精はまた胸を張っている。

「本当? でも、代わりに何をしなきゃいけないのでしょ?」

興奮していたけどお兄ちゃんが言っていた甘い話には裏があると言う話を思い出して、聞いてみる事にした。

「物分かりがいい子は好きよ。私の代わりにセクーンと呼ばれる36個の宝石を集めてほしいのよ。どう乗るかしら?」

私には被害はないのかな? じゃあいいや、

「うんいいよ、私お父さんとお母さんを蘇らせたいから」

そう言うと、妖精は頷いた、そして

「じゃあ契約成立。このブレスレットをあげるわ、このボタンを押すと変身できるわ。これは魔力を常に回復してくれる道具よ」

「うん、って魔力?」

私はゲームの中や物語の中でしか聞いた事のない魔力という言葉にびっくりした。けど浮いていて、その上小さい妖精を見たら納得するしかなかった。

「あれ、あなたいい目を持ってるのに魔力の使い道を知らないのね。まあいいわ、って誰か来るわね、あと一つ条件なのだけど、私の事は誰にも言わないでね。言ったら……解るわね?」

そう言うと彼女は消えてしまった。そして、上から見下ろすように、

「あ、珠樹みつけたよー」

と皐文が私を見つけた。そのまま私達は夕方になるまで遊んでから解散した。

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