クロユリ

白桜雪花

序章

000*プロローグ

 夜のとばりが落ちた頃、肌寒い山をひとりの女性が彷徨っていた。

 純黒の髪を紅の紐でまとめたその女性の瞳は、心が空になってしまったかのように虚ろだ。


 少しふらつきながらおぼつかない足取りで歩みを進め、一輪の花の前で突然ぴたりと足を止めると、足元に咲く真っ黒な**に――。

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