終章 魔弾の射手たち 十七歳 夏

第57話 魔法学府のライバル関係



 非常灯の灯りが室内を鈍く照らしている。

 消灯時間が過ぎた病室は、微かに機械の音が響くだけで、不気味なほどに静かだった。


 比良坂キサキは、ベッドの上に立っていた。


 柔らかなマットレスの感触と、微かにスプリングが軋む音。

 本来身体を寝かせるべき場所に立ち上がった彼女は、淀んだ瞳を正面に向ける。


 その瞳は、泥を飲み込んだかのように昏く淀んでいた。


 つい先程まで目元に巻かれていた包帯は解かれ、両目が外気にさらされている。それだけで、辺りのマナは自然と彼女の両目へと集まっていく。制御不能な眼は、視線の先にある壁を、ただ見つめるだけで塵へと変えていく。


「あたしが、悪いんだよね」


 誰にともなく、そんな言葉をつぶやく。


 ベッドの周りを覆うカーテンレールにはロープがくくられていた。

 ちょうど頭が入るくらいの大きさで結ばれたロープ。それを握って下に引っ張り、強度を冷静に確認する。計算上は、自身の体重くらいならちぎれたりしないはずだった。


 黙々とその準備をする間は、不思議と無心でいることが出来た。


 彼女にはもうどうすることもできなかった。彼女の両目は、少し見つめるだけで目の前の物を消滅させてしまう。それをなくすためには、眼を失わなければならない。どちらにしろ、彼女には視界を失うという道しかない。


 何もかもを奪われた。

 たった一戦で、彼女は全てを失った。


 だから――


「あたしが悪いから、仕方ないんだ」


 何度繰り返したかわからない意味のない言い訳を口にして、災厄を振りまく目を閉じる。

 暗闇の中で、正面に用意したロープのことを意識する。


 その時だった。

 不意に背筋が寒くなった。


 これから自分がやろうとすることを意識して、急に恐怖に襲われた。足元があやふやになって崩れ落ちそうになる。足がすくみ、ガクガクと身体が震えだす。


「あれ……なんで」


 一度恐怖を覚えてしまえば、拭い去ることはできなくなった。

 下腹部が重くなり、胸がキュウっと締め付けられる。呼吸は浅く、心臓は早鐘を打つ。震えが止まらない手は、ロープをつかもうと何度も空を切る。手間取るたびに彼女の中で恐怖が膨れ上がっていく。やっとのことで掴んだロープを、首にかけるまでに一時間もかかってしまった。


 それでも、その行動をやめようとはしなかった。


「なんで、なんで……」


 喉がカラカラに乾いていた。

 あえぐように、口を開く。


「なんで……だよぉ」


 

 なんでこんな目に、合わなきゃいけないんだ。


 ボロボロと閉じた目から涙を流しながら、彼女は思い切って足を踏み外した。



 ――

 ――――

 ――――――



 息苦しさに飛び起きた。


 起き上がるとともに、トイレへと駆け込む。胃がひっくり返るような感覚とともに、酸っぱさが口腔内を満たす。吐瀉物が水を叩く音が不快だった。目が霞むのを凝らしてみると、便器には昨夜口にしたものがほとんど戻っていた。作業的にそれを処理して洗面台へと移動する。


 鏡を見ると、ひどい顔をしていた。

 振り払うように冷たい水で顔を洗う。


「あの時の夢……久しぶりに見た」


 まだ吐き気の残る胸を抑えながら、比良坂キサキは深くため息をつく。


 今はもう、両目の暴走は収まっている。日常生活を送る分には問題ないくらいに回復したが、かつてはオンオフが出来ていた『弱点視』が常に開放状態にある。元の景色に重なるように、七色の世界がキサキの両目には広がっている。


 もう一度冷水で顔を洗い、部屋に戻る。


 学校指定の女子寮は二人部屋だ。同室の不夜城ホノカは週末ということで帰省しており、今夜はキサキ一人だった。普段は相部屋ということで気を使うことも多いが、こんな夜は一人が心細かった。


 時計を見ると午前四時を回ったところだった。まだ寝る時間は十分にあるが、また悪夢を見るのが怖かった。


 部屋の電気を付けてベッドの端に座り込む。あの夢を見た時はいつもこうだ。気を紛らわせるように携帯端末を手に取って、軽くネットサーフィンをする。探るのは過去の記事。昨年、とある海外の大会の優勝者の記事を見て勇気をもらう。


 外が明るくなるまで、膝を抱えて無心に時を過ごした。


 夜明け空を見てようやく安心した彼女は、まるで気絶するように眠った。


 その日は休日だった。

 午後から、久々に久良岐魔法クラブに顔を出す予定だった。




 Wizardry Game Another Episode


 ソーサラーシューターズ


 ラストエピソード『魔弾の射手たち』





 ※ ※ ※




「このバナナチョコパフェと、抹茶クリーム善哉。それとやっぱり、コーヒーゼリーは外せないよね。あ、この平日限定大盛りフルーツタルトってのも美味しそう! これも一つと、最後につまめるショコラバナナチップスもお願いします」

「なあ、おい。遠宮……?」

「それと飲み物はカフェラテ――あ、抹茶オレがある! 私これのアイスにしよっと。ねえ、鏑木くん。そっちは何にする?」

「……ホットミルクで」

「へえ、なんだか意外~。うん、じゃあそれで。よろしくお願いします!」


 対面に座った遠宮キヨネが、にこやかに笑いながら店員に注文をする。


 オーダーを聞き終わった若い女性の店員は、なんだか意味深な笑顔とともに「承りました」と言うと、ちらりとコウヤの方を面白いものでも見るような目で見て去っていった。これはほぼ確実に、バックヤードで話の種になっていることだろう。


 現在彼らが居るのは、繁華街にあるおしゃれなスイーツカフェだった。


 その落ち着いた内装と提供されるスイーツの可愛らしさ、そしてちょっとした高級感を理由として、主に若い女性を中心に人気のお店だという。

 なんでそんなことを知っているのかというと、目の前に座るキヨネに半ば強引に連れてこられながら、その魅力をたっぷりと教えられたからだった。


 コウヤも年頃の男子としてそれなりに垢抜けているつもりなので、おしゃれなカフェ程度で物怖じするような可愛い性格はしていないが――しかし連れてこられたお店の『ちょっと高級』さは少し場違い感があった。


「……桁が違う」


 コーヒー一杯四桁超えの高級店など足を踏み入れたこともない。メニュー表を見ながら絶句するコウヤは、今日の会計を考えて頬を引きつらせた。

 キヨネが急にコウヤを呼び出したのは今日の放課後のこと。インハイ予選の結果が公開された直後のことだった。


『ねえ鏑木くん。、返してくれる?』


 そうして連れてこられたのがこのスイーツカフェであり、コウヤは見事にたかられていた。


 曰く、借りを返すなら誠意を見せろとのこと。


 注文したスイーツはすぐテーブルに並べられる。

 それらを楽しそうにニコニコ笑って眺めるキヨネと、げんなりした顔で見るコウヤ。見事に対照的な二人だった。


「雑誌で特集を見たときから、一回来てみたかったんだよね。でもこの値段だし、一人だと抵抗あるでしょ? だからいい機会だなぁって思ったんだ」

「人に払わせるのは抵抗ないのかよ」

「借りは返すって言ったのは鏑木くんでしょ。美味しいものご馳走してもらうのって最高に気持ちいいよね」


 キヨネが言っているのは、インハイ予選バディ戦の初週の話だ。


 七連戦が組まれたあの日。デバイスを貸してもらった時に、確かにコウヤは『借りは絶対に返す』と言った。

 デバイスそのものは試合後すぐに返したのだが、お礼を申し出た時に「予選終わるまで待っててくれる?」とキヨネに言われていたのだった。


 そうして、満を持して今日、借りを返す日が来たというわけだった。


「予選の結果も出たことだし、これでようやく落ち着けるからね」

「ま、それに異論はない。とりあえず、互いにおめでとうとでも言っておくか?」

「そうだね。シューターズのバディ戦。鏑木くんはぶっちぎりのトップ。私は六位通過。お互いおめでとう」

「……棘があるなぁ」


 苦笑を漏らしながら、コウヤは運ばれてきたホットミルクに口をつけた。


 三週間かけて行われたバディ戦の予選は、昨日で終了している。

 結果は、コウヤが十戦全勝。キヨネは九勝一敗の獲得点四位でインハイ出場を決めていた。


 今年の予選において全勝者はコウヤを含めて二組。九勝が十二組だったため、かなり混戦だったという。

 シューターズのインハイに出場できるのは上位十組なので、少しでも獲得ポイントが少なかったらキヨネも足切りを食らっていたかもしれない。


「鏑木くんに負けたせいで危うく落選するところだったんだから、恨み言くらい言わせてよね。実際、鏑木くんに負けて勝ち上がった選手なんて、私と龍宮先輩しかいなかったんだし」


 キヨネの言う通り、コウヤと戦った殆どの選手が予選落ちをしている。

 本戦出場間違いなしと言われていた神夜カザリなどは、コウヤとの試合で負ったマイナス得点が最後まで足を引っ張り、獲得点の差で予選落ちしてしまっていた。


 そんな中、遠宮キヨネと龍宮クロアは一敗していながらバッチリ獲得点で本戦出場を決めているので、さすがと言わざるをえない。


「しかもそっちは、私が貸したデバイスのおかげで勝ったわけでしょ? むしろ恨み言言われても感謝するべきだと思うけど」

「その件は本当に感謝しているけど、でも貸すって言ってきたのは遠宮の方だぜ? そんな逆恨みみたいなこと言われても困るぞ」

「逆恨みっていうか、あんな使い方されると分かってたら貸してないって言いたいの。何あの使い方。思いっきりガンガンぶん殴っちゃって。銃は鈍器じゃないっての」


「別にいいだろ、霊子庭園のモデリングなんだし。現実のデバイスはちゃんと無傷で返したじゃないか」

「そーいう問題じゃない! 愛用のデバイスなんだから、乱暴に扱われたらヒヤヒヤもするでしょ。よって、鏑木くんには私を満足させる義務があります」

「それでこのスイーツってわけか」

「そーゆーこと。女子がスイーツだけで機嫌を直すって言ってるんだから、ありがたくおごりなさいよね」


 言い方こそ強気で横暴だが、しかしその表情は終始楽しそうである。


 見ると、彼女の前に置かれたコーヒーゼリーはすでに空になり、続けて抹茶クリーム善哉に手を伸ばしている。

 恐ろしい速度で口の中に消えていくスイーツを見て、コウヤは頬を引きつらせる。このペースだと、追加の注文は間違いないのではないだろうか。


 不意に、言うか言うまいか悩む言葉が頭に浮かぶ。

 少しだけ躊躇したが、なんとなく興味本位が先立ってしまい、コウヤは恐る恐る尋ねた。


「……なあ、遠宮」

「なあに?」

「そんなに食って大丈夫か? 太るぞ」

「女子全員がその言葉でショックを受けると思ったら大間違いだよ、鏑木くん」


 すました顔をして抹茶クリーム善哉を口にするキヨネは、どこか誇らしそうに言う。


「私、ちゃんと摂取したカロリーは消費する主義だから大丈夫なのです」

「……さいですか」


 これはどうしようもないと、コウヤは小さくため息を付いた。


 それにしても、だ。

 遠宮キヨネとはこれまでもクラスメイトとしてそれなりに会話をしてきたが、しかしあくまでクラスメイトとしての距離感を保っていた。


 少なくとも、ここまで親しげに話をするような間柄ではなかったはずだ。それなのに、今日のキヨネは最初からずっと砕けた態度を取ってきている。髪型も、いつもなら三つ編みをポニーテール風にしてバッチリ決めているのに、今は気を抜いているのか解いてしまっている。


 クラスメイトの知らない一面を見せられて、コウヤは終始押され気味になっていた。


「っていうか、お礼ってのは異論ないんだけどよ。遠宮は良いのか?」

「うん? そんなの、こんな美味しいものご馳走してもらって文句なんてないけど」

「いやそうじゃなくて」


 あえて言葉にすると気恥ずかしいなと思いつつ、コウヤははっきりとその事実を口にする。


「俺と二人っきりで良いのかって話。見方によってはデートになるだろ?」

「私は別に良いけどね。デートでも」

「俺がよくねぇからそこは撤回してくれ」

「あはは! 鏑木くんもしかして動揺してる? なになに、そんなに海外にいるっていう彼女さんが大事? ほんと一途だね。あーあ、羨ましい」


 ケラケラと笑うキヨネ。

 思わず、お前は誰だと聞きたくなる。


 はて。この副委員長はこんなに気安く話せる相手だっただろうか……。

 予選の間はかなりピリピリしていたし、普段は佐奇森ヤナセと口論をしている様子が印象的なせいで違和感がすごい。


「俺としては、遠宮と二人でこうしているの、佐奇森に悪いと思ってるんだけどな」

「ん? あいつがどうかしたの?」

「むしろ遠宮はどうとも思ってないのか? 佐奇森のこと」

「あー。そういう」


 これでキヨネの方が全く無自覚だったら地雷を踏んだ可能性もあるが、幸い彼女は得心いったようにうなずいている。


 コウヤとしては別段恋バナに興味はなかったが、友人の進退という意味では力になってやりたい気持ちもある。

 さて。果たしてあの気の良い委員長に対する幼馴染の反応は如何に。


「結構あからさまだろ、あいつ。そこんとこ、幼馴染としてはどうなんだよ」

「うーん。仮にあからさまだったとしてもね」


 キヨネはニッコリと笑ってみせると、そのままの表情で言う。


「直接言われても居ないことを意識するのって、なんだか癪じゃない?」

「……なるほどね」


 どうやら裏目だったらしい。


 念の為、「これは俺の勝手な言動であり、佐奇森から聞いてこいと言われたことではない」というのは丁寧に言っておく。

 そのコウヤのかしこまった態度が面白かったのか、キヨネはまたもやケラケラと笑いながら「わかったよぉ」と愉快そうに言った。


 そんな他愛のないことを喋っていると、不意にキヨネが、更に踏み込むように言った。


「そう言えば、ずっと聞きたかったんだけどね。鏑木くんはさ。なんでシューターズなんてメインにしようと思ったの?」

「なんでって言われてもなぁ」


 どこまで話したものかと迷いながらも、別に隠すことではないかと思い直し、正直に話す。

 怪我の話などは省略しつつ、魔法のチャンネルを開いたために野球を辞め、そしてキサキに出会ってシューターズに誘われたという話を簡単に言った。


 それを興味深そうに聞いていたキヨネは、キサキの名前が出てきた辺りで「ふぅん」とどこか意味深に目を細めた。


「そっか。そっちも幼馴染とは聞いてたけど、やっぱり比良坂さんが理由だったんだね」

「もちろん、今まで続けて来たのはあいつだけが理由じゃないけどな。けど、身近に競える相手がいるってのは、それだけでモチベーションになるだろ」

「それわかる。私も、中学までは親に教えてもらう以外に魔法使う場所なんてなかったから、やる気全然なかったんだよね。今みたいに全力でやれるのはオリエントに入ってからだなぁ」


 キヨネはアイス抹茶オレをストローで飲みながら手元を見つめる。

 そんな彼女に、コウヤの方から質問をした。


「遠宮の方は、どうしてシューターズにこだわるんだ? バディ戦に限って言えば、ヨハンさんのことを考えるとマギクスアーツの方がよっぽど有利だろ」

「ヨハンが強くても、私はそれほどじゃないからねぇ……」


 キヨネは困ったようにごまかし笑いを浮かべる。


 しかし、すぐに観念したように小さく息をつくと、遠くを見る目をして言う。


「オリエントに入ったばかりの頃に、すごくかっこいいシューターズの選手を見たんだよね。その姿に憧れたから、見よう見まねで始めたって感じ」


 魔法の基礎は母親から教え込まれていたが、実際にそれを活用することはしてこなかった。母は自由にすればいいと言ったが、その自由がそもそもわからないままオリエントに入学した。


 そこでキヨネは、シューターズに出会ったのだという。


 舞うようにフィールドを駆ける選手のプレイングを見て、あんな風に競技者として戦えたら楽しいだろうなと思った。

 それが、遠宮キヨネがシューターズを始めたきっかけなのだという。


 そこまで話を聞いて、コウヤはふと似た話を思い出した。


「そういや遠宮って二丁拳銃だったよな。その憧れの選手って、もしかして朝霧トーコか?」

「……どうしてそう思うの?」

「いや。キサキも同じなんだよ。朝霧トーコ選手に憧れてシューターズ始めたんだってさ。そりゃもうすごい重度のファンで、きっと気が合うと思うぞ。そういや、昔朝霧選手の試合を見たことあるけど、確かにアレはかっこいいよなぁ」


 現在、朝霧トーコはプロリーグの第一線で活躍している。

 つい最近も海外リーグに出場してトップ争いをしているという話を聞いた。その華々しい戦績は、魔法に疎い一般人であっても知っているくらいである。


 コウヤが納得したように頷いていると、不意にキヨネがくすりと笑った。


「ん? どうしたんだ、遠宮」

「ううん。なんでもない。ふふ。そっか。……同じ、か」


 その時のキヨネの内心を、コウヤが知ることはない。


 どこか吹っ切れたような表情でそうつぶやくキヨネは、心の中でそっと誓う。今度、比良坂キサキと話をしてみようと。


 憧れの少女もまた、遠い人に憧れたことがある。

 遠いと思っていた存在が急に身近に感じられて、なんだか嬉しい気分だった。




 それから一時間位、ダラダラと喋った。


 内容は本当に他愛のないことばかりだ。クラスメイトの話や、授業の話。小学校や中学の話。踏み込みすぎず、けれども思い出したように過去を晒す。そんな、気の合う友人と話をするような時間はあっという間に過ぎた。


 最後に、キヨネは不意にこんなことを訊いてきた。


「ねえ、鏑木くんのこと、呼び捨てにしても良い?」

「なんだよ、藪から棒に」


「だって、そっちは『遠宮』って呼び捨てにしているのに、私だけくん付けで呼ぶの不公平だと思わない? それとも、鏑木くんって女子が男子を呼び捨てにするのは生意気とか思っちゃうような男女差別な人?」

「うわめんどくさ。別に断る必要なんて無いだろ。この一時間で遠宮のことは十分にわかったし、いまさら気を使われるのも気持ち悪いわ」

「なにそれひどい」

「ひどいと思うならもうちょっと怒った顔しろよ、笑ってんぞ」

「あはは」


 そんな歯に衣着せぬ応酬をした後、キヨネはあらたまったように手を差し伸べてきた。


「それじゃ、改めて。よろしくね、鏑木」

「はは。なんだよこれ。あー、はいはい。よろしくな、遠宮」


 苦笑しながらも、差し出された手をにぎる。

 握手を交わして、正面から視線を交わす。そうして、二人同時に笑いだした。


「本戦じゃ負けないんだから、覚悟しててね」

「こっちこそだ。返り討ちにしてやるから覚悟してろ」


 鏑木コウヤと遠宮キヨネ。


 ライバル関係。継続中。



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