シのマギワ

当然、終わりが用意されているのが生き物の常であるけれども

間際に叫ぶ慟哭について申すならば色鮮やかである

ふいに隙をつかれて意外な一言を言われた時

随分と丸くなったな、と思うよりも、なぜと疑問がわいた


そうこの人は死ぬ、それを本人が一番よく知っている

だからこそ私を心配する言葉を吐いているなんぞ

青天の霹靂、あっけにとられる、意表をつかれる

藪から棒にでもかまわない、酷い衝撃だった


昔の人だから子は親に尽くすものと考えているのだと思っていた

なのに威張り腐っていた貴方が今わの際で、人の心配する言葉を

陰で吐いていると知った時、私はなんとも言えない気持ちになったのです

そんなことを言っていると知ってしまったら

貴方の死に対して、「しょうがない」が出来なくなってしまう

なんて酷い話だろうと私は思うのです


家に帰ってからも考えてました

いまだに空から降る火の粉で火傷をしつつも

足元に咲いてしまった花の花弁が燃えるか暴風で飛ばされるか

私の中にあった何かを芽吹かされてしまいました

守るつもりなどなかったのに

死人に口なし

そんな風景を想像していたのに

なら、貴方が望む方向に事が運ぶよう最善を尽くしましょう

やっぱり、アイツラにイイ顔をさせたくありませんから

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