明けぬ夜の為、朝を告げる鳥

誰か

思い出にはならない、と言った

それを聞いて不自由だなあ、なんて思った

憐憫も同情もなかったけれども

誰かが

思い出したことはない、と言った

それを聞いて難しいなあ、なんて思った

意見も感想もなかったけれども

普通に生きていくには傷つきすぎた人たちが

口元を一の字に結んで

覚悟を決めた顔つきになるのを見ていた

泣きそうな顔つきで手を伸ばすのを

手をだらりと下げて虚無の眼差しになるのを

後悔しているような悔しそうな

きっと私には一生分からないであろう、その姿を見ていた

だけれど、その人たちは一様に終わった後に優しく苦しそうに笑ってくれた

そのたびに、失ったから優しくなったのか、それとも元々優しかったのか

優しすぎて傷ついてしまったのか、随分と不公平に感じたもので

私は声のかけ方が下手だったから

「ありがとう」としか言えないけれども

そう、できれば貴方たちの思い出になれたらいいと思った

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