てのひらと部屋

何度だって握りなおす

ここに留めておくために

何度だって握りなおす

ここから連れ出すために

何度でも、何度でも

確認、転換、引連れ、他所へ、未来へ


できればよかった

意識はいつだって内側と外側と違い

感じている温度さえ互いに違った

だけれども、ただ掌の熱さが全てで

熱さが共有の感覚だと思っていた


できなかった

同じ感情を共有しようとした時

その違いにお互い驚いて

そんなことはないと激昂し

そんなはずがないと鎮静した

心のどこかで部屋が二つできた気分になった


いや二つあったのだ

元々感情の部屋は身体にあり、それが他人によって明確化したのだ

できれば気づきたくはないものであったけれども

それでも君となら悪くなかった

同時に許しを願う部屋もできたから

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る