第五節 やさしい名前


 窓の外は淋しくて


 私の部屋は淋しくて


 私の心は淋しくて




 果楽のうそつき


 いくら待っても来てくれない


 果楽の…うそつき…




 果楽…―――




 目が覚めてはじめに見えたのは青い髪


 空に透けるような 蝶の羽の様な―――




 見回した 部屋の窓辺に


 あなたに似た青を見つける


 あなたじゃなかった


 あなたじゃなかったわ


 けど…




「どうして……戻ってきたの…?」




 懐かしい姿があった


 たった一日 いなかっただけだけれど


 とても懐かしく感じた


 ひと目で分かったもの




 渡り蝶




 あなたに名前をあげる




 あの人の代わりに来てくれたから




 あの人と同じ名前を




 あなたにあげる







 “カラ”





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