転生吸血姫は世界をミる

@nekoppoinanika

第1話〜プロローグ〜




 この世界は理不尽だ。




 上司の八つ当たり、


 窃盗疑惑で内定の取り消し、


 面接を受けに行く途中で通り魔に刺される、


 大学入試前日の夜自宅への放火、


 通学途中に電車のホームから突き落とされる、


 飛行機が墜落しかける、


 車に撥ねられ全治1年、


 そして今は夢への道が断ち切られた。


 努力すれば報われる?夢が叶う?



 うそだ

 そんな筈がない



 そう言っている人たちは単に偶然が重なっただけだ。

 それを言ってしまえば、今まで死にかけたことは全て偶然と言えるだろう。


 だが、俺が死にかけたその都度に「死ななくてよかったね」、だと?それも纏めて偶然だと言うのか?

 幾度と死にかけ苦痛を味わった。



 死にたいと思った。



 そんな苦痛を味わうくらいならいっその事死んでしまいたい、そう考えた。



 しかし世界は俺が死ぬのを許さなかった。


 事故に見せかけた自殺をした事もある。

 それでも死ぬことができなかった。



 何故、世界はそこまでして俺を生かそうとする?

 ついさっきまでそんな事を考えていた。



 俺はさっきまで観光の名所になっている崖の上にある展望台にいた。

 床は一面ガラス張りで崖の下が見えるようになっていた。



 突如、爆音が響く。


 俺は足元のガラス片と共に680m下の岩場まで紐なしバンジー中だ。


 流石にこれは死んだな。

 これで生きていたら俺は本物のバケモノなのかもしれない。



 死ぬことに恐怖は無かった。



 これでやっと『生』から解放される...



 そんな事を考え終える前に岩場に打ち付けられ、




 俺は、





 死んだ。



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