破壊と創造③
「あたし達が先よ!」
「あんたあとから来たじゃない!」
死ぬ前に美味しいものを食べたいとおばさん(笑)が店の前で争う。
どうして女というのはこんなに欲にまみれてるんですかねぇ……。
願いを叶えて世界を見ているだけの傍観者が言えたことではないですが。
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遂に世界はリセットに向かい始めているようです。
世界各地で既に大雨や竜巻が起こっているらしいですから。
「えぇ。彼の願いは叶いますよ。他のすべてを犠牲にして。」
誰に言うでもなく、自分に言い聞かせるように彼は言う。
この街も大雨で色んなものが流され始めた。
逃げるあてもなく逃げ惑う人々。
そして彼らは願いを一度叶えてしまった。
それは助かる手段がないということ。
彼らはそれを分かっていた。
それでも逃げ惑う。
食で争っていた女性も、仕事帰りの男性も、みんながみんな逃げ惑う。
こうしている間にも世界は雨に流され、ゼロになる。
家も、学校も、木も、街にあった何もかもが流されていく。
この星で栄えた文明はひとりの男の願いのせいで一晩で消える。
無論、願った彼は何もなく、助かっているわけだが。
そして、太陽が登り、昨日と変わらない朝が来る。
ただ一つ、世界に二人、青年と願い叶える力を持つ男しかいない点を除いて……。
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