Long December Days:25
「なぁ、文成。ソフィアとの出会いの話、もっと聞いてもいいか?」
身を乗り出しながら、そう言うぷでぃんぐに「そういうところは何十年も経つのに変わらないんだな」と苦笑いしながら、文成が答える。
「ああ、別にいいぞ」
超能力研究所には、世界中から集められた超能力者が大体20人ほどいた。未来予知ができる者が三名、テレキネシスに類する能力を持つ者が10数名――物体を動かしたり、見えない刃物を造り出したり、火や水や氷を虚空から出現させて扱ったりする者たち――に、その他心が見えたりイタコの能力が使えたりする者が10名弱。それぞれに五名ほどの専属の研究者がついて様々な実験を行った。文成――雪河智絵――が行った実験を例に挙げると、サイコロの出目を予測し続けたり、スイカ割りのようなことをしたりといった具合に、それぞれの能力の限界を知るものである。当時は科学技術の発展に世界中が躍起になっていた頃で、その中で偶然発見された超能力者たちは青春を奪われる他なかった。体調不良のために研究所から去る者や、自らの超能力を失ってしまった者もいた。そんな中で、智絵は研究に対して積極的な態度を取ってはいたものの、かなりのストレスを感じていた。そして、自分を担当する研究者に向けて、「この研究所にはいない人とテストをしたい」と告げた。
「それで、出てきたのがソフィアと」
ぷでぃんぐが口を挟むと、文成が頷く。
「そう。ソフィーはミーハーだから、興味を惹かれればなんにでも食いつく。ちょうど休日で暇を持て余していた彼女は、スキップしながら超能力研究所にやって来た」
――こんにちは、はじめまして。
流暢な日本語でそう言ってほほ笑むソフィアを見て、智絵は驚いた。人造人間研究と、情報技術開発のニュースで頻繁に目にする顔がそこにいるのだから、当然だ。
――あなた、日本語話せたんですね。来日なさった時には通訳ソフトを持っていらっしゃったから話せないんだと思っていました。
挨拶も自己紹介もなしにそう言った智絵を見て、さらににっこりとソフィアは微笑んだ。
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