Gemelli

蒼空

第1話 プロローグ

私たちはいつだって、ふたりでひとつだった。

おもちゃも、洋服も、お菓子だって。


「あやの、いつまで食べてるの?遅刻するよ?」

「まって、あと少し!」



でもそれを、苦だと思ったことはない。

それはやっぱり、お腹の中からずっと一緒にいたからだと思う。



「ゆりの、おまたせ!」

「おそい!」



双子として、この世にふたりで同時に生を受けて



「もう。入学早々遅刻するかと思ったよ。」

「ゆりのは心配性だからね。」

「あやのはのんびりしすぎ。」



もうすぐ16年。



「お母さん、見ててくれてるかな?」

「見てるよ、きっと!」



母を、病気で失っているけれど。

ふたりでひとつのものを、交換しながら生きてきた私たち。



「入学式で、運命の出会い。とかないかなぁ~。」

「ないよ。」

「ゆりの、たまには夢を見よう?」

「あやのは夢を見すぎ。」



でも、それが通用しないと気がついた───────────────────

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