食いしん坊、バンダイ殺人事件
真生麻稀哉(シンノウマキヤ)
第1話
神奈川 横浜
高級マンションの5階の一室
表札は、家主の事情で出されていない。
つややかな毛並みのゴールデンレトリバーが、くるくるとキッチンを回っている。
首のネームタグにある、彼女の名前は「モモ」。
モモの爪は、カツカツカツとフローリングを打ちならす。
つぶらな瞳は、落ち着かなげに涙を流して、しばたかれている。
そして、その長いアゴヒゲには赤い物がべったりついて、口の隙間からは、ポタポタとヨダレが落ちて、床を濡らしている。
リビングには、体格のいい男があおむけに倒れている。
男の足元から30㎝ほど離れたところに、モモのエサ皿がある。
中には、容器に半分ほどドライフードが入っていた。
リビングのソファには「遺書」と書かれた封筒が置かれている。
男が死んで16時間がたった。
ガチャッ
キーが差し込まれ、ドアが開錠される。
入ってきた男は、無造作に言った。
「バンダイさーん、そろそろ現場に行きますよ~」
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