少年と海

気がついたら人になっていた

でも心の形が違ってた

誰もが泳げる海で 僕だけ泳げない


どんなに欲しがったってなかったんだ

生まれた日の昨日なんてどこにも

この出来損ないの命で生きるしかない


貰い損ねた切符は もうどこにも配っていなくて

今日も港には来たものの どこの列にも並べない


少年と海 ずっと泳げないまま 旅立つ船を見送って

灯台の下で ずっと手を振って せめて無事を祈る



人前で泣きたいのを我慢した

どんな時も笑う癖ができた

この醜いままの心が綺麗になるように


譲ることもできない席で せめて邪魔にならないように

明日は港に君が帰る日 どんな話が聞けるだろう


少年と海 ずっと泳げないまま 帰る船を出迎えて

灯台の上で ずっと手を振って せめて無事を祝う



受け取った手紙  宛名に僕の名前など無い

覚えた笑顔で   思い出せない涙を真似る

差し出した手紙  宛名に書ける名前など無い

昼と夜の間    横目に見ていた命を真似る


少年と海 ずっと泳げないまま それでも海を眺めて

この世界を 愛せるようにと 戦う 一人



©South to North Record ストレイキャッツ/少年と海

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