Chapter.4 灯台守の少年
幕間4
ダニエル・ジョンストンというミュージシャンを知っているだろうか。
双極性障害、統合失調症、その他さまざまな精神疾患にさらされながら、自宅に引きこもって曲や絵を発表していた。いわゆるアウトサイダー・アーティストの一人だ。
のちに伝説のバンド、ニルヴァーナのカート・コバーンが紹介して、全米に知られる存在になった。
ほとんど他者の手が介在しない閉じた世界で作られた歌は、それ故にどことなくチープで、子供っぽい。その極まった純粋さが良いのだが、常にカメラ目線でギターを弾き語る姿や、片手を震わせながら歌う姿が、少し怖いのも事実だ。
でも、好きなんだ。
家の地下室で、誰に見向きもされなくても、せっせと曲を作り、録っていた姿を想像する。
偏屈な天才発明家のように。
妙に共感してしまうんだ。
俺に創作の心得があったなら、同じようにして生きたいと思った。
―――ああ、話を続けようか。
この話で、ようやくプロローグ終了だ。
ここからが本当の『おマツリ少女とSCP!アフター!!』となるわけだが、同時にこれが『おマツリ少女とSCP!』のラストエピソードでもある。
最初に言っておくが、
問題は過程だ。が、わざわざ俺が介入する必要もなかったかもしれない。
このアフターストーリーは、九割方が俺の自己満足のために起こした行動でできている。
でも、それでいいんだとも思う。自分勝手は人生において、十分な行動指針だ。
それに、そろそろ、エキストラですらない役割に飽きてきた頃だったんだ。
世界を向こうから振り向かせたダニエルのようにはいかなくても、な。
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