Chapter.2 何の変哲もない最悪な一日

幕間2

 小学生の頃、物の本で読んでことがある。『障害者』の障害とは、個人にではなく、社会にあるものだと。


 歩く必要のない社会では、足が無いことは障害になり得ない。言葉を持たぬ社会では、話せないことに不自由はない。


 社会の変化が、障害を作り出すこともある。


 人よりコミュニケーション能力が低かったり、物の捉え方が異なったりしている人たちに回す仕事が、機械に取って代わられたことで、彼らを『発達障害』の枠組みに入れて、福祉の網にかける必要が出てきたそうだ。


 何しろ昔の話だ。うろ覚えで、間違ったことを語っているかもしれない。話半分で聞いてくれ。


 福祉社会の在り方について論じたいわけじゃない。いち高校生が考えるのは、どこまで行っても自分のことだ。


 そう、障害者である、俺自身のことだ。

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