おマツリ少女とSCP!アフター!!

祖父江直人

Tail.1 誰かにとっては始まりのエピローグ

幕間1

 幕の下りた劇場というのは、独特の心地いい浮遊感がある。俺も良い映画を観た後は、なかなか席から立ち上がりたくならないから、気持ちはよく分かる。


 だが、そこのあなた―――そう、俺の声が届いているあなただ。もうそろそろ、立ち上がってもいいんじゃないか。これじゃあ、いつまでたっても片付かない。


 物語は―――『おマツリ少女とSCP!』は、もう終わりだ。そこで待っていても、もう何も始まらないぞ。


 アンコールはない。UVERworldのライブのように。


 マーベルのアメコミ映画のような本編終了後のおまけもない。


 上映、演目はすべて終了。お出口は右手にも左手にも後方にもある。はい、さようなら。お帰りはお忘れ物とお足もとにお気をつけて、だ。


 ……………………。


 随分と強情だな。


 何を期待しているんだ。目の前には幕の下りた舞台。そこに立っているのは役名もない端役ですらなかった俺。何かを始めろって方が無理な相談だ。


 ―――そうか。そうだな。幕の下りた舞台に上がった俺が悪いんだ。期待させてしまった責任がある。


 分かった。


 俺の話は、茉莉香まつりかたちが辿り着いたハッピーエンドの出涸らしに過ぎないが、恥を忍んで語ろう。


 名も無き人間の、誰も知らない物語だ。つまらなかったら、いつでも途中退席してくれ。


 タイトルをつけるとするなら『おマツリ少女とSCP!アフター!!』というところだ。

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