初恋の味

@amie

第1話

雲ひとつない空。東の空から顔を出す太陽の陽が私の顔を照らす。今は午前6時5分。午前6時半から始まる朝練に行く途中だ。4月の朝はまだ肌寒い。ウインドブレーカーの袖からでる手は少しかじかんでいる。


今日から2年生になる。担任の先生や、クラスのことなど気になることがたくさんある。しかし、不安よりも期待の方が大きく、胸を膨らませペダルを力一杯こいだ。


学校に着くと、知らない男の人に会った。新しい先生だろう。

「おはようございます。」

「おはよう。」

眠たそうにしていた顔が一瞬でイケメンな笑顔に変わる。生徒にモテそうだな。私、この先生苦手かも…。そんなことを思いながら、テニスシューズに履き替え、テニスコートに向かった。コートには、まだ誰もきていない。ボールを取りに部室に向かうと、有稀人先輩がいた。

「おはよう。」

「おはようございます。先輩早いですね。」

「そんなことないよ。亜紀だって女子で1番じゃん。」

話をしながら、私がボールの入ったカートを準備するのを待ってくれる先輩。優しい人だな。そう思いながらたわいない話をする。コートに入って、ボールに空気を入れる間も、2人でたくさん話した。居心地のいい空気。今は午前6時15分。あと5分くらいでみんなが来るだろう。そう思っていると、莉奈がきた。莉奈は靴紐を結ぶと、私たちと一緒にボールに空気を入れだした。


6時半がきて、部員全員がきた。先輩の後ろを走っていると、有稀人先輩と目が合う。そしたら目をそらされた。なんで?私何かしたかな?なんて、考えながらぼーっとしていたら、

「亜紀!次あんたの番だよ。」

と、先輩に怒られてしまった。急いで五本打ちをする。ロブが風に乗り、アウトしてしまう。


そんなこんなで、朝練は終わり、更衣室で制服に着替える。8時から出席確認なのに、今は7時50分くらい。2人で急いで廊下を駆ける。

「こら。廊下を走るな。」

後ろから怒りながらきたのは、さっきのあの先生だった。



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