え、俺だって勇者だって? ああもう俺が勇者だって!
淺羽一
第1話 まったく、朝っぱらから扉を叩くんじゃねぇよ……。はいはい、どなたですか~? (670字)
は? いや、確かに俺は ※※※※ だけど? え、王宮に来い? ていうか、おたくどちらさん? うちは単なる農家だぞ? 来るところ間違ってるんじゃ……王様の使い? あぁ、いやまぁ、そらそんないかにも貴族風な格好の訪問販売なんて思っていなかったけどさ。大体、あんたの向こうにごっつい槍を構えた兵士までいるし。はっ、口の利き方に気をつけろって? そりゃすんませんね。こちとら大した教育も受けていない貧乏家系なもんでね。あ、ちょっと、そこの人! 馬車の馬にうちの畑の野菜を食わせないでくれよ! ただでさえ、最近は魔物が多くなって、肥料とかの輸送費も高くなってるのに! え、大丈夫だって? いやいや、めちゃくちゃ狙ってるぞ! え、あぁ、はいはい。聞いてるよ。王宮に来いって言うんだろ? でも、やっぱりどうして俺が王宮になんて行くんだよ。それは向こうで話すだって? まぁそれならとりあえずいつ行けばいいか教えてもらえれば……え、今? いやいや、こっちは今から朝飯を食おうかってタイミングなんですけど。え、 そんなことどうでもいいって? そんな横暴な話があるかよ。大体、なんで俺が王宮に行くんだ? 別に何も悪いことなんてした覚えはないぞ。というか、バレた覚えがない……あぁ、いや、こっちの話だ。とにかく、どうしても俺を王宮に連れて行きたいなら、とりあえず朝飯が済むまで待って、っておい、何だよ、腕を掴むんじゃねぇよ! おい、こら、話を聞けって! ちょ、槍とかこっちに向けんじゃねぇよいやほんとマジで勘弁して下さいよいやもう分かったよ分かった! 行くよ! 行けば良いんだろ!? 痛っ! 背中を突くなって!
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