異世界底辺生活シュミレーション

シャルルードーブルゴーニュ

第1話出勤

「はぁおはよう。連絡事項は有りますか?特に無いですね?では今日もしっかりノルマをこなして下さい」

 課長の朝の挨拶を皮切りに、皆一斉に迷宮ダンジョンに足を運ぶ。皆その姿は一様に薄汚れたシャツを着て、擦り切れたジーンズに土色のキャップ帽子を被り、両手で台車を押し背中には銃を背負って、ポケットにはナイフを指している。

 ダンジョンの入り口で二列縦隊を成して次々とダンジョンに人が潜って行く、そんな中自分もその列に加わるように並ぶと、自分の右側に並んだ人物が居た。

 チラリと隣の人物を観ると、肌が赤黒く服装は年季が経っていると感じる程小汚く、オマケに加齢臭がキツい。その人物は自分にニヤリと黄色い歯を見せ挨拶してきた。自分も反射的に挨拶を返す。

 彼は自分のパーティーのリーダーであり班長だ。ダンジョンの中で広々とした広間のような空間で5人のパーティーの点呼をとる。

 ぁいちぃ,んにぃ,はぁ...さん,よん!,ご!。

「うん、全員要るね~じゃ行こっか」

 班長の号令と共に出発するパーティーメンバーこれから胸を踊らせる冒険がきっと始まるに違いない。そんな期待や不安からか4番と5番が道中の話に花を咲かせる。

 彼らはルーキー...新人であった。その真新しい服装で直ぐに解る。班長は道中暇なのか、それともコミュニケーションなのか仕切りに新人達に話しかけてきていた。やれ歳は幾つだ?ウンウン14、15?若いね~。やれ国は何処だ?等々話題が無くなったからか自分に話しかけてきた。

「3番く~ん新人達の面倒見てやってよ~。君は古株だし次のこの班のリーダー候補だよ?頼むね~?」

 正直な所面倒なので嫌だ。面倒を見ても此奴が使い物になるか解らんし、成ったとしても自分に得が有るわけでもない。リーダー候補?ふん。しかし面と向かって嫌とは言えないので半ば冗談のように言って拒否するしかないのだ。

「ねそんな事言わずにさぁ~。頼むね~!よ、ろ、し、く。」

 自分の丸まった背中をバシバシ叩く。片手で器用に台車を支えての瞬間技だ。

「「先輩おねしゃーす」」

 はぁ冗談じゃない。面倒だなと思っていたら突如、ボン!、ボン!と2発の銃声が前方で響いた。1番と2番が発射した模様だ

「前方エン2コ、ヒット。R2」

 1番と2番は後列に移動していく。新人達がガチガチに固まって頭に?を浮かべたので説明してやる

 エンとはエンカウントの略で敵との遭遇を意味し、2コとは二匹のコボルトを意味し、ヒットR2とは命中してリロードに2分って事だ。解ったか?チャンとお前達も言うんだぞ?と意地悪するように言う。いくら簡単な作業でもそう簡単に出来る人間は早々居ないだろうけどまあこれも経験だ。

 新人達を今度は先頭に立たせる。彼らは行き先も解っていないのでおっかなびっくり進みながら、班長に進路を度々聞いてくる。

「おい!後ろがつっかえてるぞー。もっと速く歩け」

 1番と2番が茶化すように言ってくる。

「さっさと進め。作業場まで遅れると作業時間が減るぞ」

 自分も煽るように言うがこれも事実なのでしょうがない。

 新人達はガチガチに震えながら先程よりも大股で歩く。しかし急に足歩みを止めた。

「ぜ、前方に何かいます!人でしょうか?黒くてよくわかりません!どうすればいいですか?」

 はぁどうすればいいかだって?こうするんだよ!自分は新人達を押しのけ目標に向かって銃を発射する

「前方に黒くてよくわからんもの1ヒット。R2」

 ここは異世界のダンジョンで完全に治外法権だ。もし人だったとしても紛らわしい奴が悪い。















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