ep1-4 君の嘘..


「ブーブー」

不意に震え出した携帯。

貴方からの電話。

出るのが怖い、何を言われるがわかるから。


「~♪」

軽快な君を繋ぐ音

察しのいい君はこの電話に出たく無いのだろう。

心臓の鼓動が早く、痛く強く響いた。


「も、もしもし」

「ごめん、寝てたかな」

「ううん大丈夫」


久しぶりに聞いた貴方の声

優しいトーンがまた怖かった。


「さっきのメール見てくれた?」

とうとう来てしまった

「・・・」

言葉が詰まって上手く声が出ない、今にも泣き出してしまいそうだ。

「あのさ、僕達..」

「別れようか」

「え..?」


そう切り出したのは私。

自分でもわからない、何故言ってしまったのか。

でもこれで良かったんだ、貴方の口から聞くよりは。

何度も逃げて来た言葉に私は立ち向かったんだ。

もうそれだけでいいんだ。


「そうだね、こんな身勝手な僕を好きで居てくれてありがとう、幸せになって」

「うん、貴方もね。」

何処かホッとしてる僕が居る。

別れの言葉を告げずに、君が言って来たからなのか。

それとも君との関係に終わりを迎えたからなのか。

どれも間違っては居ないような気がした。


君がついた最後の嘘、別れるのが嫌な筈で他の人との幸せなど今は思う筈もない。


貴方の声を聞いてから何時間経ったのだろうか。

いつもの朝は来て居た、でもあの頃の朝とは違う。

もう貴方の事を考える資格は無くなってしまった。

解けた糸は、私と貴方を他人にしてしまった。


君の声を聞いてから何時間経ったのだろうか。

いつも来て居たメールは無くなった。

それだけで僕らを繋ぐ物は無くなってしまった。

絡まった糸を解こうとしたら、切れてしまった。


「さようなら」

「さようなら」


end..


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