この感情は教えてもらいたくなかった。

Hicky

1.「いつものこと」

1.「いつものこと」


 目が覚めた。見慣れた天井が目に入る。

携帯のアラームで設定した時間より7分早い。気にせず身体を起こす。ベランダに出れる窓を開けると風が部屋中に行き渡った。顔を洗い、コーヒーを淹れよう。


 テレビをつけ朝のニュースを見る。また殺人か。なんでそんなに騒ぐのかな。たかが人1人死んだだけじゃない。コーヒーに息を吹きかけ冷まし、一口飲む。今日は雨が降りそうだ。


 朝食の準備が終わりパンをかじる。スクランブルエッグを食べトマトのサラダに手をつけたときに外から窓に何か当たる音が聞こえた。雨だ。

 とりあえず洗濯物を取り込みソファに置く。するとインターフォンが家中に鳴り響いた。ドアの向こうから慌ただしい音が聞こえる、郵便配達員か。濡れた洗濯物を乾かそうとしたタイミングで邪魔をされた。気にしないが。

 玄関まで行き、ドアを開けるとずぶ濡れで震えている郵便配達員がいた。

「はぁ……はぁ……お届け物です」

 寒さで身体を震わせ、息を荒くした郵便配達員から一通の手紙を貰う。そのまま家の中に入ると郵便配達員は悪態をついてエレベーターに向かって行った。

 封を開け手紙の内容を確認する。確認をした私はすぐにその手紙をキッチンへ持って行って燃やす。いつものやり取りだ。

さて、出掛ける準備をしよう。

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