ショートショートの倉庫

達見ゆう

第1話 星に願いを

 ある男が夜空を見上げていたら、星が流れてきた。

「そういえば、今夜は流星群がどうのとニュースでやってたな」

 確か、流れ星を見つけたら消える前に願い事を三回唱えると叶うと言う。願い事なら決まってる。やはり人生は金だと思うので、金持ちになりたいと唱えようとするが、流れ星は一瞬のうちに消えてしまう。

 ニュースの通りならば今夜は流星群だからチャンスは何回もあるし、実際沢山の星が流れているが、なかなかうまくいかない。

 何がいけないだろうか?唱えるスピードか?いや、これ以上は早くできない。スマホに吹き込んでから音声データにして再生速度を上げてみるか?いや、それも手間だ。それに万一願い事を吹き込んだ音声データが流失したら恥ずかしくて生きていけない。ならば、唱える言葉を最低限にするまでだ。よし、次の流れ星で唱えてみよう。

 そう思った瞬間、一際明るい流れ星が見えた。今だ!

「カネカネカネ!」と男は素早く唱えた。

 次の瞬間、お寺の鐘が三つほど男に目掛けて落ちてきた。

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