本物志向の店

桃山次郎

第1話

『本物志向の店。偽者は一切取り扱いません』


たまたま拾ったチラシの地図を頼りに、男は、とある商店を訪問した。

その自信満々なキャッチコピーがどこまで、本当か確かめるためだ。


なんとなく、唐辛子と、柿の種とトマトを購入し、帰封した。


ぺペロンチーノを作るため、購入した唐辛子を取り出したが、妙に固いし、色も違う。


「本物志向どころか、とんだまがい物じゃないか…」


独り言で毒づきながら、気を紛らわせようと思い、柿の種が入った袋に手を伸ばす。

妙に黒い柿の種だと思いつつ、かじると非常に固く、噛み切れず味も一切しない。とても食べ物とは思えない。だんだん不安になってきた。購入したものは全て偽者なのではないか。


あわてて、購入した最後の一品であるトマトを確認すると、案の定、トマトでは無いまったくの別物が入っていた。しかし、中身は観るからに美味しそうな桃だった。間違いではあるが、金額的にはあたりといえる。


早速、包丁を取り出し、斬ろうとすると、桃が少し、震えているのに気が付いた。びっくりしつつも、そっと包丁で切っていくと、中から元気な男の子が…。


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本物志向の店 桃山次郎 @momojiro5200

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