異世界騎兵ランドキャリバー

MrR

炎のサダメてきな

 俺の名は鹿島 キリヤ。

 突然異世界「アストラス」の「ギルメア」王国に勇者召喚され、戦う事を強いられた。

 なので俺は最近見た転生小説物の主人公に習って好きな作品のメカを異世界の技術とかで再現した。


 そうして誕生したのがランドキャリバー。

 デザインがスコープ○ッグに似せているのは気のせいだ。

 ローラーダッシュ機能とかも付けたのもきっと気のせいだ。 


 これを誕生させる事が出来たのは勇者の加護とやらと言う召喚特典「???」の御陰だろう。

 「???」の正体は分からないが、人型機同兵器を産み出す事が出来るチートに違いない。

 きっとそうだ。


 そして随時アップデートを繰り返しながらランドキャリバーは当初の周囲の疑問を吹き飛ばす程の快進撃を続けた。


 次々と現れるモンスターを「ビッグミステイクだぜ」と、魔法の技術で再現した近代兵器へビィマシンガンで蜂の巣にしていく。

 動力は魔導路と言う便利装置でどうにかしました。

 

 途中、ランドキャリバーを奪われたりとか俺を脅威に思った貴族達の襲撃、仲間の裏切りが起きたが全ては不幸な出来事だったに過ぎない。


 俺は戦いの中で、自分探しを続けている。


 その探している何かを見付けるまでは、自分が我欲で産み出したランドキャリバーから降りるワケにはいかない。


 だが魔王軍との最終決戦直後。


 魔王城から遠く離れた場所へ俺は誘い出された。


『キリア団長・・・・・・これはどう言う事ですか』


 黒色の重装備のランドキャリバー「ケルベロス」。

 

 へビィマシンガン二丁、肩武にミサイルポッド、キャノン砲、両腕にアームマシンガンを装着。

 更に両腰部分にはミサイル、バルカンポッドをつけている。

 重武装の戦闘ヘリ並みの火力である。


 装甲は薄いがな。

 頭部のデザインはいやいや騎士風の物にされている。身内がうるさかったんだよ。

 だけどごねて一つ目にしたのはいわゆる最後の抵抗と言う奴だ。


 俺の周囲には、少し離れた崖の上からミサイルポッドを

 千体近くのランドキャリバー達がいる。


 味方として付いてきたランドキャリバー達、俺が作った量産型の「シルバリア」までいる。特徴が無いのが特徴の機体。

 それが残骸と化して倒れ伏している。


 俺が蜂の巣にしたからだ。 


 理由は分からないのでこの場にいる女の騎士団長である「ソフィー」に問い掛ける。

 金髪の綺麗な美人団長だ。

 純白で金色のラインが特徴的なランドキャリバーに乗っている。


『お前は危険すぎる・・・・・・ただ、言われるがままに勇者の役割を演じていれば良かったのだ。にも関わらずお前は――お前は――我々の想定外の行動を取った』

 

『貴族の裏切りも、仲間の裏切りも――全てお前らが糸を引いていたのか?』


『そうだ。お前はこの世界の救世主となるだろう。だが秩序を壊した。剣や魔法の時代を終わらせた。教会からも異端認定されるだろう。お前は勇者としてではなく、反逆者として、教会からの異端者として死んで貰う』


『成る程。つまり俺が悪いのか。そうかそうか。突然異世界から呼び出して言われた通り戦ってやったのに利用するだけ利用してぽいか。大した世界だよこの世界は』


 いまさら何も感じない。

 モンスターを殺し、人を殺し、裏切った仲間すらも殺した。

 ならば殺し続ける。


『最後に一つ質問だ』


『なんだ?』


『どうして装備を万全の状態にしておいた?』


 それが疑問だ。

 装備は万全の状態。

 整備も魔導炉もだ。


『これ以上の問答は無用だ・・・・・・総員掛かれ!』

 

 それが合図だった。

 激しい戦闘だった。

 千体一の戦闘。

 俺は逃げた。

 ソフィーと戦うのが嫌だったとかじゃない。ただ戦いに勝つために。生き残るために魔王軍に特攻を仕掛けた。

 そして戦いは何時しか魔王軍と俺と対魔王連合軍との泥沼の殺し合いへと発展していった。

 俺は途中でケルベロスを廃棄し、何度何度もランドキャリバーを乗り換えて戦った。

 

 戦いはどれだけの時間続いただろうか?

 

 まるで気が狂ったかのように行われた激しい殺し合い。

 銃で撃たれて絶命する魔物。

 魔物に食われて死ぬ人間。

 殺し殺されの時間が延々と続く。


 俺もその場の空気に当てられて殺しまくった。

 魔物も人間も殺した。

 魔王の討伐とか国への復讐心とかはなかった。

 

 そして戦う理由さえもなくなっていた。


 元の世界に帰りたいと思った事はある。


 裏切った仲間を殺して後悔して死にたくなった事もある。


 今にして思えば自分の意志で戦った事など無かったかもしれない。

 現実でもそうだった。

 現実に流されるがままに生きて来た。


 しかしファンタジー世界に放り込まれ、勇者と言う役割を与えられ、そして自分の人生が輝き始めたの感じて、もっと輝いていたいと思うようになった。


 それが間違いだったのだろう。


 その果てがこの戦場だった。


 魔王城の成れの果て。


 見渡す限りの死体の山。


 ソフィーはモンスターに胴体を食い千切れて頭部だけが残っていた。驚愕で目を見開いている。

 無残な最後だった。

 

 何となくだが、彼女はこうなる事を予測していたようにも思える。


 ソフィーとの付き合いは長い。

 若いのに騎士団長と言う立場になれたのも魔王軍との激戦続きで次々と団長が替わって行ったせいだ。

 

 彼女とはただの女騎士からの付き合いだった。

 裏切った仲間の、シェリスを殺した時もそうだった。

 彼女は教会の神官だった。

 

 恐らく教会の密命でも受けて俺を殺そうとしたのだろう。

 

 俺は歩き出す。

 魔王討伐連合軍は全滅状態。

 ただ大きなクレーターが幾つもあっただけ。

 人体や魔物のパーツがごちゃまぜになって放置され、カラスが死肉を啄んでいる。


 酷い有様だ。

 

 俺は無事だったランドキャリバーに乗り、その場から離れた。


 それから暫く経過した後。


 仲の良かった、この異世界で知り合った人間はほぼ全員死亡の確認が取れた。


 ギルメア王国もバラニス王国も戦時復興で大忙し。


 そして教会で魔王討伐を祝ってパーティーが開かれる。

 軍事パレードも開かれるようだった。


 俺もそれに参加する。

 ランドキャリバーに乗って。

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