4-20 アサツキ三人娘
『ぴんぽ~ん♪』
なんだ、またなんか変な来客か?もうカンベンしてくれ。
「こんばんは~出前のラーメン3人前お持ちしました~。」
え?ラーメン??と思っているとケイさんが出て来て受け取り、お金の支払いを済ませた。
「は~い。お世話様です。おい、そろそろメシにしようぜ。」
やったあ、夕御飯だ!ケイさん手配してたのね。ああ、優しい~。
こうしてようやく夕ご飯にありつけたのでした。…タカヒト君も一緒テーブルに付いている。
「なんでタカヒト君も一緒なのよ。」
ワタシは声を落として抗議する。
「だってどうせ、一緒のアパートだし、大差ないだろ?」
「また妄想が暴走するわよ、知らないわよ。」
「二人とも何か話してないで、早く食べようよ、伸びちゃうよ。」
確かにそうだ、早く食べよう。
「はいはい、では、いただき…?兄さん、ワタシ普通のラーメンでよかったんだけど?」
目の前のラーメンにはアサツキのみじん切りが沢山盛られている。ネギラーメンのアサツキ版と言ったところだ。
「ああ、お前はまだこの町でラーメンは食べてなかったのか。ここはアサツキだくが標準だ。」
…そのうち体からアサツキが生えそうだ。
「そうそう。やっぱアサツキなくちゃ美味しくないよな~ 。」
嬉々として食べるタカヒト君はやはり浅葱の人だな。
「はあ…今日は女子高生に絡まれたり散々だったなあ。」
ワタシはボソっとつぶやいたつもりだったが、タカヒト君には聞こえていたらしい「ん?アサミちゃん達のこと?」
「名前は知らんが、タカヒトのファンという輩に絡まれ…。」
「こ、声かけられたのよ。いろいろとね。」
あんまり悪くいうのもなんだろう、慌ててごまかした。
「あの子達はいつも部活帰りにケーキを食べに来てくれるよ。いい子達だよ~。」
…真実を知らないのは幸せなコトだ。双方にとって。
「彼女らの名前聞きそびれたけど、名前はなんて言うの?」
「俺もちゃんとフルネームは聞いてないんだ。髪が長くて言葉遣いが上品なのがアサミちゃん、ショートの子がツグミちゃん。ちょい乱暴な言葉遣いのメガネっ子ががキリちゃんだよ。近くの浅葱女子高の1年生だよ。」
「ふ~ん。」
その時、ケイさんが一言付け足した。
「なあ、それって名前の上の部分を取って繋げたら『アサツキ』にならないか?」
「あ、そういえばそうだな~。アサツキ3人娘か、そりゃいいや。」
…またもアサツキかよ。
二人は笑ってるが、なんかワタシは力が抜けていく。ふと目を向けるとタマはアサツキ入りのキャットフードを食べている。いくらアサツキが多い街だからってココまで来るとクレイジーかと思う。
「まあ、いい子達だから、たっちゃんも仲良くしてやってよ。」
向こうが仲良くしようとは思わないだろうなあ。
…ココは浅葱町。一応、異世界。なんだかいろいろややこしくなりそうだ。
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