いぬ社長と踊れる社員たち

@GetGetGet555

プロローグ

いぬ社長は思った。

自分は万能であると。

東京某所、四畳半の部屋。片隅に置かれた室内犬専用トイレ。

お手伝いの上野さんが持ってきてくれるご飯は、美味しいおかずが乗っていて、いつも最高である。


いぬ社長は自分がなぜ社長と呼ばれるかを知っている。

自分で市場を開拓し、自分で顧客の喜ぶ事を考えてやってきたからだ。

群れのボスとして、常にみんなの利益を得ることをやってきた。

でももう体が思うように動かない。

どうやら、天からの贈り物の時間も残り少ないらしい。


明日死んでも後悔は無いけど、

それでも何だか無性に寂しい気がして、上野さんを呼ぶとその細い腕の中で、クンと鳴いた。


いぬ社長、17歳。

もうすぐ蝉時雨が聞こえそうな季節だ。

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