異界の焔
ハスとツバキ
第1話プロローグ
異界の焔 プロローグ
無音の獄中で自身の息づかいだけが聞こえる。真っ白な壁に昼間の様な明るさ。
視点を天井に上げ、床に下げる。
鼓動が少し早い。
この高揚感は今までに味わった事がある。
それは何だったのか…。
しばらくして、人の足音が近づく。その音は牢屋の前で止まり、ガチャリと音がすると、二人が私の目の前に立った。
「囚人番号四九六、死刑囚本名⁑⁑、罪状放火、殺人等、二十八件の罪により、本日明朝六時に死刑を執行する。何か云い残す事は無いか?」
そう聞かれたので私は少し前に思いついた事を言った。
「地獄で火遊びしてやるよ」と。
二人は酷く憐れんだメで私を見下げる。
「…そうか。では刑場に移動する。立て。」
連れられたで手足を拘束、目隠しをされた。
暗闇でも人の気配を感じる
首に掛けられる縄の感触。
ふと、未だやり残した事、未だやりたかった事がある、と思った。
すると、連鎖的に願望と後悔が無数に湧き上がる。
今理解した。コレが生への執着なのだと。
そして思った、もっと色んな物を燃やしたかったと。
首への圧迫感と共に私の意識は途絶えた。
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