二重生活
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千隼 樹⇔太田 理生①
帰宅していつものようにPCを起動し、そのままGメールを開く。
ショップのインフォメーション、動画サイトの新アップロード情報、会員のダイレクトメール…気になるタイトルはさっと目を通し、その日に溜まったメールをどんどん開封済みにしていく。
そして、コスメの新発売情報と、ポイントカードギフト案内の間に埋もれた、「契約ライター募集いただき、ありがとうございました」のタイトルを発見し、一息ついてクリックをする。
『太田さま。このたびは弊社企画にご応募いただきありがとうございました。添付いただいたサンプルと、サイトURLの作品も拝見いたしました。ぜひともご一緒にお仕事させていただけないかと思い、ご連絡いたしました。詳しい案内は追ってご連絡させていただきます。取り急ぎにて失礼します』
やった、と私は小さく呟き、マウスの握る手を強めた。
血の通わない無機質なビジネス定型文であきらかに踊らされているのは、分かってはいたが、今の私を舞い上がらせるには充分だった。
これを通過点にして、「
これからどんどん忙しくなるに違いない。メインの仕事に支障をきたすかもしれない。いや、支障が出るほど忙しくさせてもらえる。これほど幸せなことがあるのか?
明日も早い。今からシャワーを浴びれば、あと4時間で出社しなければならない。
私はPCをスリープにさせると、たまには湯舟に浸かろうと、風呂の蛇口をひねった。
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