あの海産物家族への考察

ポムサイ

あの海産物家族への考察

A「お魚くわえたどら猫について考えていた のだが…。」


B「あぁ、あの日曜夕方の海産物家族の歌  な。」


A「そう。裸足で駆けてく程の怒りなら高級魚だと思うんだよ。鯛とかノドグロとか…。」


B「それには反論する。あの家は大家族だろ?単に人数分の魚がなくなる事への怒り だと俺は思うぞ。」


A「なるほど…。だが、それは大きな問題ではないのだよ。そこにはもっと大きな疑問が生じてくるんだ。」

 

B「ほう…。聞かせてもらおうか。」


A「そもそも、お魚くわえたどら猫を追い掛けてどうするんだ?」


B「そりゃ、捕まえてお魚を取り返すためだろう?」


A「どら猫がくわえて歯形と唾液のついた魚をお前は食べられるか?」


B「…。洗っても食べたくないかな…。」


A「だろ?俺もそう思って他に何らかの目的があるんじゃないかと考えた訳だ。」


B「なるほど。それで?」


A「一つは、猫を懲らしめる目的で追い掛けている。

もう一つは、猫を追い掛けて飼い主を突き止め損害賠償を求める。」


B「両者とも却下だな。」


A「なぜだ!?考えうる選択肢じゃない

か?」


B「まず、一つめの猫を懲らしめるという発想だが…。あの家は猫を飼っているだろ?そして家族の様に可愛がっている。つまり 猫好きだ。そんな家族が猫を懲らしめるという発想をするだろうか?いや、しない。」


A「自分の飼い猫以外ならその発想があっても不思議じゃないだろう?」


B「そんな家族が何十年も愛され続けるか?それに、あの清廉潔白な家族が動物愛護法に抵触するような事はしないさ。」


A「うむ。確かにそうかもしれないな。」


B「そして、もう一つの飼い主を突き止めて損害賠償を求めるだが、これは前提から破綻している。」


A「!!」


B「どら猫と言ってるじゃないか。飼い主などいない。」


A「いや、待て。飼い主がいないのは野良猫だろ?どら猫には飼い主が…。」


B「いない。そもそもどら猫は野良猫に含まれる。」


A「どういうことだ?」


B「飼い主のいない猫を野良猫。野良猫かつ盗みなどの悪事を働く猫をどら猫という。よって、どら猫に飼い主はいない。」


A「そうか…。じゃあ、あの主婦はなぜ追い掛けているんだろう?」


B「そりゃお魚を取り返すためだろう。」


A「待て。さっきお前も食べたくないと言ったじゃないか?」


B「誰が主婦自身が食べると言った?」


A「!!!ま…まさか…。」


B「あの主婦がそんなお魚を食べさせて良いと思わせる人間があの中にいる…。誰だと思う?」


A「旦那か?」


B「おしいな。最終候補には残るだろうが、俺は弟であると確信している。」


A「そっちか!!二択を外した気分だよ。」


B「まあ、あの主婦がどら猫からお魚を取り返せる確率はかなり低いとは思うがな。」


C「何の話をしてるんだ?」


A「よっ!お魚くわえたどら猫の話。」


B「あの主婦が何でどら猫追い掛けてるか分かるか?」


C「何も考えてないだろう?」


A「!!」

B「!!」


C「何も考えないで裸足で追い掛けていっちゃったよ~陽気でおっちょこちょいだね~アハハ~…的なあの主婦のキャラクターを如実に表している一節だろうな。」


A「そうだね…。」

B「そうだな…。」


C「あっ。そうだ。あのエンディングの歌。実は一番じゃなくて二番だって知ってたか?」


A「マジか!!!?」

B「マジか!!!?」


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