壊変召喚のエンコード

オドラデク

戯言日記の壊変

 天才を固有名の記号に解体すること。首から上の現象を交換するために連続殺人を擬装する。謎解きを計画に組み込むことの意味。交換可能な価値を吟味するには内面を仮想マシンの例えでシミュレートする必要性。だが特定の個人に対する執着を説明するには至っていない。


 恋愛と夢の相互理解は可能なのか。鏡像の世界を構築することで相互性を仮定する。だが恋愛経験などというものは存在しない。自分の心が他者にとってどうでもいいと判断された時に残るのは失恋の勇気だけであるべきなのに性急に結果を出そうとして人命の破壊を価値の吟味に利用したために初めから世界に対する憎悪しか抱いていない空虚さに共感を求めるという期待を抱く。だから期待を裏切るわけにはいかない友情の代価が殺人の連続性を自殺の代わりに演出しようとして幻想の世界が崩壊する。しかし殺人鬼の解体はキャラクターの収集にすぎず色相の世界は一向に終わらない。


 学校という牢獄における信頼と裏切りの意味。内面が擬装にすぎない者にとって信頼に応えるには敵を皆殺しにするか裏切りを繰り返すしかない。だから初めから嘘をついて騙すことでそれを信頼だと思い込もうとする。言葉において信頼と裏切りの区別など存在しない以上、過去の想い出にすがりついたまま誰もが知っていることを無視し続ける。だがそれは大切な人を嫌いにならないようにするためのおまじないのようなものではないのか。

 

 天才を学問的に理解するとはどういうことなのか。疑問に対して解答をせずに騙されたいと思う態度が愚鈍さを擬装しているだけではないのか。何を考えているのか難しくてわからない。だから才能というものを仮定して自分にはそれがないと卑下して見せる。技術研究が自分に足りない部分を補ってくれるはずなのだ。天才は凡人に対して訳のわからないことをして見せる義務があるのだろうか。違う。大切な存在が逃げたからそれを取り返そうとしているだけだ。人間の技術的な識別などいくらでも上書きできる程度のものだ。存在を奪うことができないのなら破壊したほうがいい。大切な人との記憶が家族の代理品の出合いにすぎないのなら償われるべきは罪ではなく関係の終わりでしかない。犯罪が感染するのは被害者が増殖するまで終われないからだ。死によって償える罰など偽善でしかない。ならば家畜として繁殖しつつ幸福な死を偶然に委ねるべきなのか。黙って見ているだけでは終われない。大切な人は今でもまだ生きているのだから。


 道化としての人生を歩むこと、それが許され得る軽蔑ではないのか。しかし妹と重なっているという事実そのものをいかにして清算するのか。意図的に人格をキャラクターとして分割することなど可能だろうか。それは物語の登場人物としてのみ記述することができる。ならば最初から生きていない存在を描写することは二律背反に陥るのではないか。運命は嘘では乗り越えることはできない。人間的な絆を再確認するための欺瞞が騙される物語として収束するから。交換の事実を隠蔽するための殺人には飽き飽きだ。だがそれなら何をすればいいのか。最強を確認しにいくのか。

 

 抑圧していた傷を暴くこと。他者との関係から自分の性格を発見すること。死体が埋まっているはずの場所に何もないどころか存在があるという事実を悪夢において認めること。それは物語の終わりなのか。人類の新種としてのキャラクター。そんなことはどうでもいいことだ。家族とは運命なのか。物語は家族にとってどんな意味があるのか。何の意味もない。家族の代理と近親相姦の直系は何もすることがない。だからこそ終わりは終わりにならず色相の種は家を破壊して信頼を砕きあやふやになった敵対関係の敗戦処理と日常の回帰がだらだらと続く。人類の代理品としての存在を請負人としての地位として読み解くこと。だがこれは物語の終わりではなくて物語的な解決でしかない。文法の誤りを指摘することは児戯でしかなくわかりきったことをやり直さなくてはならない。だがしかしそれからーーーー死んだ父と兄のキャラクターを重ね合わせて人類を生殖するゲームを開始すべきではないか?父が交換可能であるからこそ運命を壊変することが召喚の物語を回帰させる。

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