love me!!
萌黄匂
第1話未明
「あのね、川名君」
人気のない実験棟に呼び出した相手に、私は真っ赤になりながら言った。
「好きです。…付き合って!」
ほとんど勢い任せの言葉。
「え?」
見上げると、キョトンとしたーーと言うか、状況が理解できていない様な表情の川名君。
それもそうなのかもしれない。川名君はあまり女子と仲良くなくて、ほとんど唯一話すのが私って感じだ。目立たない人だし、告白される事ってないのかも。
でも、そんなのも悪くない。だって私が、川名君の良いところを独り占めだもの。誰も邪魔がなくてむしろ好都合かも。
「…友達のまま…現状維持ってのは?」
全く、照れちゃってさ。
「それで満足してたら告白なんてしてません!」
「まあ、そう言うとおもったけど…」
あ、川名君も私のことわかってるじゃない。これって所謂両思い?だったりして。
そしたら素敵だなあ…。
「…ん〜」
川名君の態度は何故か煮え切らない。どうせ、答えなんてもう決まっている癖に。
「じゃあ、こう言うのは?」
そんな様子に焦れてしまって、私はついにとっておきの二択を繰り出した。
「私と付き合うか、私の好きにできる玩具になるか。どっちがいい?」
「とっくに半分玩具なんだけど…。その二択なら、…玩具じゃない方で」
って事は付き合う気になったんだね!良かった良かった。それが、川名君にとって最善の選択だと思うよ。『玩具じゃない方で』なんて、可愛らしいったらない。
本当に川名君は照れ屋さんなんだから。
もし、まだ照れてるようだったら、もしかしたら私の相棒にてつだってもらって、もっとちゃんと言葉を引き出してあげなきゃいけない所だし、ここで素直になってくれたのは嬉しい。
とっても大事な事だもん。
でも、これで私達両思いだね。
これからどうぞよろしくね、川名君。
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