&11 お目覚めの叱り
順に部屋へ入っていくと、運び込んだ時には真っ青な顔だった王女様が少し
「陛下、ご気分はどうですか?」
「す……すみません。
顔は笑っていても、口から出る言葉は全くそれに沿っていないことを巧とハルートは分かった。彼らに分かるということは王女もしかりで、だからだろうか。もしくはそういう性格ということか。王女はすぐに自身のとった行動の過ちを認めた。
「陛下が倒れられたと聞いたときは、とても心配したのですよ?」
「聞いた時だけですか?」
「理由さえ聞けば、誰もが
「それについては先ほど誤ったではないですか。それに、今回は下調べをよくしてからやったのですよ」
王女がそういうと、ニアリンゼは「ほう」と短く答える。彼女はもしかしたら蛇を踏んでしまったのかもしれない。
「その結果がこれですか? 天然
「なっ!? つ、使い切ってしまったのは、そこの御二方と話をするためにしたことで―――」
「それで?」
会話が進むごとにニアリンゼの
これには王女が折れる。
「……すみませんでした」
「これからは気を付けてくださいね」
彼女は小さく「はい」と答える。
一部始終をニアリンゼの斜め後ろから眺めていた巧とハルートは話の途中、ベッドの上から何度か
[あの人には気を付けようぜ、相棒]
[地雷がいくつあるかわからンね]
小さく情報共有を終わらしておく。
部屋の入口あたりで話をしていたトルヴァは話が終わったのか、医師をどこかに案内しに出ていくところだった。ハルートはドアが閉まるまでその様子を見ていたが、横に立っていた巧に肩を叩かれたので、何事かと振り向く。こちら側を王女とニアリンゼが見ていた。
「改めまして、この度は助けていただきありがとうございました。あなた方のおかげでこのように回復することができました」
彼女は小さくお辞儀をする。
「いやいや、これもなんかの
「そうですよ。困った人を助けるのは当たり前のことなンですから。気にしないでくダさい」
2人はあくまでそういうが、王女が倒れる理由となる力を使わせてしまったのは彼らであり、背中を汗が伝う。
しかし、彼女はクスっと笑う。
「お優しいのですね。私の名前はフィオリーネ・ノリアントと申します。リーネとお呼びください」
「リーネ様でよろしいでしょうか?」
「様はいりませんし、敬語もいいですよ。リーネと」
彼女は笑顔を絶やさない。本当にいい子なのだと2人は思うのだった。
「わかりました。よろしく、リーネ」
「よろしくな、リーネ」
「よろしくお願いします」
リーネはそういうとあっというような顔をする。
「そういえば……あなた方のお名前をしっかり窺っていませんでしたね。教えていただけますか?」
「そういえば確かに。僕は久倉ハルート。ハルって呼んで」
「俺は、野ノ米巧だ。タクって呼んでくれ。俺たちは同じ年で18歳だ」
「あら、同じ歳なんですね。同じ歳の知り合いができたのは初めてです」
嬉しそうに笑う。
本当によく笑顔が似合う子だとハルートは思う。しかし、それと同時に何かの違和感を抱いていた。
(たダ喜んでいるとは思えない。なンかこう、期待しているみたいな感じが)
そんなことを考えていると、隣の巧が話し掛けてくる。
(まぁ、そンなことはないよね)
ハルートは巧と話し始めるのだった。
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