第24話

「北澤」

「ん? 」

「__どれぐらい行くの」

「最低一年。ガイドの仕事ができるんならずっといるよ」

「そ・・・か・・・」


 沈黙。

 隣の席に座っていた男性が、立ち上がり公衆電話へと歩いて行った。

「あ、あの」

「ん? 」

「__日本には、帰ってくるんだろ? 」

「もちろん。最初の一年は帰って来ないけどね。正月くらいは」


 再び沈黙。

 女の子が、売店からアイスクリームを手に持って走って来る。

「・・・あの」

「何だよ」

 北澤が笑ってこちらを向く。

 黒く短い髪。大きな目。瞳に宿る、強い光。


僕は、この光を。

北澤を。


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