第15話

花火大会は盛況だった。ひっそりとしたアパート前の狭い道路は、淡くも激しい光が明滅し、笑った顔が浮かんでは消え、消えては浮かぶ。彼等は点火する度に、こんな花火は見た事がない、と騒ぎ、これはうちのと同じだ、と又騒いだ。

 皆が帰った後、僕は満ち足りた気持ちでアパートに戻った。北澤に言う。

「楽しかったな」

彼は笑う。

「お前、俺が何やっても面白いほどはしゃぐよな。いつもそんなにつまんないのか? 」

「え」

「いつも何やってんの? 」

「え・・・、大抵、皆で飲みに行ったり、ボウリングしたり」

「ふーん。楽しい? 」

「え」

「いつもそれやってんの? 」

「あと・・・、映画とか・・・」

「ふーん」

「・・・でも、北澤ってすごいよな。いっつも面白いイベントとか考えて」

「考えてんじゃないの。見つけんの」

「・・・・・」

「退屈なんだったら探してみろよ。案外すぐに見つかるから」

 シャワー浴びてくる、と北澤は部屋を出て行った。


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