第15話
花火大会は盛況だった。ひっそりとしたアパート前の狭い道路は、淡くも激しい光が明滅し、笑った顔が浮かんでは消え、消えては浮かぶ。彼等は点火する度に、こんな花火は見た事がない、と騒ぎ、これはうちのと同じだ、と又騒いだ。
皆が帰った後、僕は満ち足りた気持ちでアパートに戻った。北澤に言う。
「楽しかったな」
彼は笑う。
「お前、俺が何やっても面白いほどはしゃぐよな。いつもそんなにつまんないのか? 」
「え」
「いつも何やってんの? 」
「え・・・、大抵、皆で飲みに行ったり、ボウリングしたり」
「ふーん。楽しい? 」
「え」
「いつもそれやってんの? 」
「あと・・・、映画とか・・・」
「ふーん」
「・・・でも、北澤ってすごいよな。いっつも面白いイベントとか考えて」
「考えてんじゃないの。見つけんの」
「・・・・・」
「退屈なんだったら探してみろよ。案外すぐに見つかるから」
シャワー浴びてくる、と北澤は部屋を出て行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます