第19話 二日酔いも覚めて…

 うへぇ……。

 目が覚めると、素っ裸になってる自分がいた。

 しかも、ベッドの布団は捲られてるし。

 ひろちゃんに顔を、いや身体を見られてる。

 どうしてこうなった?


 昨日の自分の言動を思い出そうと考えこむ。

 昨日は、香織の結婚式でひろちゃんと会って、2次会は行かずに…。ああ、そうだ。ひろちゃんと話しをしていたっけ。酒も飲んで、ほろ酔い気分になって…。

 なって…。

 あれ、記憶が?

 って、素っ裸だし…。

 まさかとは思うが、コイツ…。


 すると、「言っとくが、お前は自分から服を脱いだんだからな」と、先に言われてしまった。


 あれれ?

 覚えがまったくございません。


 ひろちゃん曰く、「起こそうとして鼻をつまんだり、頬を叩いたりしていたが無駄だった。布団を捲ったら起きてくるかなと思って捲ったら、起きてきたんだ」とのこと。

 「その証拠に、自分の身体に違和感は無いだろ」と言われ、たしかに何も違和感は無い。疑ってしまい、ごめんなさい。


 うー。

 しかし、生まれたままの身体を見られたのかぁ…。

 一生の不覚。


 優人と落ち合い、東京の家に帰ることにした。

 「お兄ちゃん、昨夜はどこに行ってたの?」

 「何も聞くな」

 それしか答えようがなかった。


 額を押さえて呻いていたので、優人は二日酔いだと思ってくれるといいな。

 男と裸で寝てたなんて、口が裂けても言えない…。

 そう思いながら、東京行きの新幹線に乗った。

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