ネタバレ考察・クリスマスお菓子の詰め合わせ2

  5 ピコ太郎~カインとアベルの催眠術

 6 赤い雌牛育成プログラム~ミトレラの狂気の神聖楽園王国

 7 擬人化されて誕生した、義眼の天使ワイン・ラキスン・マリアス

 8 輪廻転生するシャンバラ~終わりのない疑似天界の悲しみ

 

 5 ピコ太郎~カインとアベルの催眠術


 ドラクロワがプーを刺し殺す、という衝撃の真相は、当初の予定ではありませんでした。その結末に、私は耐えられませんでした。プーを殺したのは別の誰かで、ドラクロワはその人物を庇っているという、冤罪の物語にしたかったのです。けれど、いくら探っても、該当する人物はシルエットすら現れませんでした。

 真紅篇を書いていたのは、2016年10月のことで、当時、ピコ太郎さんのアッポーペン、という動画が流行っていました。この世で、何かが劇的に流行したり、ニュースになるようなことには、必ず二重、三重の何らかの意味があって、私は催眠術にかかったように、その暗号について、ずっと考えていました。

 ある日、アップルを心臓に、ペンを剣に見立てたときに、一人の人間が血を流して死んだ情景が、私の脳裏に浮かび上がりました。

 そのとき私は、「ああ、ドラクロワは本当にプーを殺していたんだ……誰かを庇っているなら、大義名分があるけれど、何の申し開きもできないんだな……」と慟哭しました。

【私を殺していいのはドラクロワだけだ】プーを刺し貫いた瞬間のドラクロワは、未来(過去)のメサエスの言葉を占っていました。ジュリアン・サロートはドラクロワの想像の産物ですが、復活後の神の王メサエスが先行して、殺した神の王ジュリアンは後で辻褄を合わせるために、占った未来のメサエスの顔を基にして造られました。

 もし世界でPPAPが流行していなかったら、私は怖気づいて、ドラクロワがプーを救出して、占い族の村を見殺しにして、異端審問騎士団から逃れて、逃避行の道を走る「ヒロイック・ファンタジー」の物語を書いていたかもしれません。それも、一つの占いの形としては魅力的です。

 時を同じくして、2016年の秋のクールに「カインとアベル」というドラマが放映されていました。

 プーが産まれないパラレルワールドでは、エリーはアヴェルという子を産み、その世界では猫の名前はブザーが付けたプーでした。反対にプーが誕生し、占い族が存在する世界では、猫の名前はアヴェルでした。この猫の名前を付けたのが、占帝元老院です。オゾン大公夫人によって飼われた存在しない猫です。

 ようやく私は、この物語が「カインのアベル殺し」の物語であることに気付きました。その瞬間にドラクロワの槍も、十字架上のイエスが死んだことを確かめるために用いた、ロンギヌスの槍に変換されました。

 

 因果律自体には善も悪もありませんが、それを粛々と代行するドラクロワの役割は、人類に引導を渡さなければならない審判の穢れ役です。ドラクロワはシェイク=スピア(槍を振るう者・サタン・不動明王・閻魔大王)を顕し、プーはルビヤの大日如来の面を受け持っています。

 もし、輪廻するルビヤの石が奇跡を起こして、プー生存ルートの世界線が創造されたとき、王獣字(仮)のプログラム(プー)が発動し、世界は反転して、ルビヤの色に塗り替わります。それを純白霊降臨ペンテコステ(プー)と呼びます。

 占星術師ノストラダムスの百詩篇にあるように、恐怖の大王ルビヤが、アンゴルモア(アンデ)の大王を目覚めさせます。


 6 赤い雌牛育成プログラム~ミトレラの狂気の神聖楽園王国


 ルビヤの水槽は拷問機械ファラリスの雄牛の水責めバージョンです。ギルガメシュ叙事詩の聖牛も念頭に置きました。プーの血が循環して赤く見える透明のガラス細工の牛で、SFアニメや「ファイナルファンタジー」に出てきそうな、流線形の派手なバイクのイメージです。ドラクロワが闘牛士メアイ・オゾンのように、あるいはヘラクレスのように、ルビヤの牛型水槽を槍で破壊しました。血の水槽から解放されたプーの眼は赤く染まっていましたが、「赤眼」は迫害を受けていました。

 旧約聖書の民数記19章にはこのような記述があります。

「完全で、傷がなく、まだくびきを負ったことのない赤い雌牛」

「汚れを清める水をつくる」

 2018年8月28日にイスラエルで赤い雌牛が生まれました。

 とあるオカルトニュースのサイトの記事によると、イスラエルには神殿研究所という研究グループがあって、「赤い雌牛育成プログラム」という実験をしているそうです。内容は産まれた赤い雌牛が、生贄に相応しいかどうかというものでした。

 この情報は私に、プーを救済のための道具にしか思っていないミトレラ、を連想させました。

 ミトレラの由来は、ミトラ教の牡牛を屠るミトラス神と「見惚れる」やカトリック教会の司教冠ミトラから。


 7 擬人化されて誕生した、義眼の天使ワイン・ラキスン・マリアス


 ワイン・ラキスン・マリアスの名前の由来は、Mew の楽曲「Vaccine」の歌詞からです。

 ワクチンはラテン語の「Vacca」が語源、で雌牛の意味です。ワイン・ラキスン・マリアスは、地星テラの自浄作用(自然災害)のメタファーです。


 ワイン・シュタイナーの薔薇の橋は、アインシュタインローゼンの橋という、ワームホールの仮説を、ワインと神智学のルドルフ・シュタイナーに変換しました。

 ミニチュアの彗星が薔薇の橋を通って、現実化して天の川銀河に降り注ぎました。

 最終話をカクヨムに投稿したのは、2018年1月20日でしたが、2月3日に地球のそばを小惑星がかすめていきました。2月3日は旧暦では正月ですが、宇宙からの挨拶だと思います。この当時、映画「君の名は。」をパロディーにしたような、彗星が落ちてくるカップヌードルのCMが放映されていました。伏線は映画や小説、漫画などのフィクションにだけ張られるのではなく、私たちの住む現実世界でも張られます。張っているのは誰か、秘密結社か、高次元の存在か、そう考えると、神々の頂点に君臨する大宇宙は、最高最大の物語作家かもしれませんね。まもなく全宇宙がすべての伏線を回収し始めます。良いことも悪いことも一切関係なしに。

 マリアレス・ストーカーの子、右目だけが石でできた、二丁拳銃のラヴディーンは、ドラクロワによって占われた、ワイン・ラキスン・マリアスだったのかもしれません。

 Mewは猫の鳴き声を意味し、真紅篇はこのバンドばかり聴いていました。占帝元老院が淡々とプーの過去を語っていく場面はアルバム「A triumph for man」を聴き、異端審問からの村の破滅は、「MY COMPLICATIONS」「Clinging To A Bad Dream」を聴いていました。

 

 二千年前に東方の三博士は、星に導かれてイスラエルまでやってきました。クリスマスツリーの頂上部の星のオーナメントは、ベツレヘムの星と呼ばれています。


 8 輪廻転生するシャンバラ~終わりのない疑似天界の悲しみ


 シャンバラは、文明ごとに人の魂の寄り合う場所、人類の集合意識。神の光の届かない、虚構宇宙、魔界。人が輪廻を繰り返すように、シャンバラもまた輪廻を繰り返します。星単位では、リラ→ベガ→テラ。占い族の村や幽霊船や、無限に繰り返すジュリアン・サロートの村の伝説もそうです。この宇宙もまた輪廻転生を無量大数回、繰り返しているのかもしれません……。何かの螺旋状の機械の中のひとつの部分で、永遠にエラー信号が点滅しているかのように。ワインの台詞の「オルフェウスの竪琴」はリラを、「織姫」はベガを顕し、猫ブザーと兎(檻姫)エリーに対応します。

 また人間には未知の地底世界アガルタも、占い師たちに物質界のシャンバラとして知られています。地底には北洋文明(メアイ)を導くルビヤ族と南洋文明(イザナギ)を導くリオン族の末裔たちが存在しています。人が化け物を追い払ったら、神々もいなくなりました。

 花園篇では超古代文明レムリアが舞台となっていますが、日本の竹内文書という古代の偽書では、スメラミコトが天の浮舟に乗って、世界を旅していたとされます。これはイザナギとリオン族の側の神話を顕し、二つの血統は、共にアンデの花園のあった第一オーゾレム(仮・名前はまだない)を目指しました。ルビヤの石の世界でも、一度、人類は滅亡しているので、オゾンを起源とした第二オーゾレムに回帰していきます。民族には、永い年月をかけて、元いた場所に戻っていく、という帰巣本能があります。イスラエルとヒッタイトが極東大和の地を目指したように。


「黒猫の舌」のフィガロは、未確認生命体のバックアップを受けていました。神々には名前はありません。人間が生活するうえで言葉を必要としたことによって、神々にも便宜的に名前が付けられました。ちょうど世界一周旅行をする野良猫に、あらゆる国の人々が名付けた、たくさんの名前があるように。


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