399日目 プリーストからの解放


 日が傾きだし夕暮れに近づきだすとブラックスノーマンは少し動きが悪くなり魔王の先ほどまで受けきれていた攻撃を浴びて吹き飛んでしまい。

黒い雪の体をボロボロと崩しながらも氷の剣を地面に突き刺して立ち上がり再び剣を構えて魔王に攻撃を開始した。



「どう言うわけだ??先ほどまでとは打って変わって動きが別人のように遅いではないか??

魔力が尽きたということか??それともお腹が減ったとかそう言うのではないのか??」

「ううん、ブラックスノーマンは夜になると・・・闇に吸われるようにして消える定めにあるみたいで・・・・」

「ですから夜になると出力と体の形状を保てなくなってヨロヨロとしてしまうのですよ。

本当にそろそろブラックスノーマンの限界ですね。」

「この戦いに決着が着くにしてもコレは少しあんまりだろ。

ブラックスノーマンにしろ魔王にしろ納得のいく形として終わらせてやりたいがどうしようもないな。」

「フォォォ・・・・フォォォォ・・・・」

ブラックスノーマンはそろそろ動くのも辛いと言わんばかりに倒れそうに体をふらつかせ、ついには体が後方へと倒れる瞬間。

魔王はブラックスノーマンの腕を掴みその場に固定すると魔王は手から魔力をある程度供給し力を与えるとブラックスノーマンはみるみる元気となり体の調子を調べるようにして動いていた。



「魔王、一体どういった風の吹き回しだ??

本来ならこんな下等なとか言って消えるのを見ている魔王のはずだが??」

「フッ・・・私をそこら辺にいるモノ達と一緒にしないでもらいたい。

私は私で決着というものを付けたいのだ。

だから勝手に消えてもらっては困ると思い魔力を供給したまでの事。

自分の内部に持つ魔力があれば問題ないのならコレが最善の方法だろ??」

「いいですよそれでこそ私たちの知る魔王です!!!

さぁブラックスノーマンも元気になったのでしたら先ほどまでの激しい戦いを再開してください!!!」

「魔王さん、これからが本当の戦いだから頑張って!!!」

魔王はブラックスノーマンに魔力を供給し元気になったところで再び剣を交えて戦い・・・激しい戦いを繰り広げてはいたモノのやはり時間というものは逃れることができず。

魔力を供給した所でそう長くは体を保てず・・・・



「フォォォォ・・・・フォォォ・・・・」

「そうか、そろそろ終わりなのだな・・・本当のタイムリミット・・・

それでは私も剣をしまうとしよう。

このままタイムリミットで勝負がつくのも私の知っている戦いの定義とは遥かに違うものだ。

だからそうだな・・・今度はまた日が昇った時に出会えたらという事にしようじゃないか。」

「ブラックスノーマンの維持限界だったとしてもいい戦いだった。

このままいけば本当にどぅちが勝っても不思議じゃない戦いだし俺も魔王の言った通り後日に日を改めて戦うと良いと思うぜ。」

「いやぁ~実に見事な戦いでしたね。

これはメルトにも目せてやりたかったですがメルトなら即座にスペルで消失させるのでしょうけど私は今回の戦いには猛烈に感動していますよ。

種族を超えた力と力のぶつかり合い・・・その結果は付かなかったとしても今後の楽しみになったという事が大きな収穫ですね。」

「そうだ!!今度は私とも戦ってほしいな。

昔からブラックスノーマンと腕の競い合いをしてみたかったんだ。」

せっちゃんたちが言葉をかけていくにつれてブラックスノーマンの体はぼたぼたと黒い雪を地に落として崩し・・・とうとう原型を保てなくなり闇に溶けて消えて行ってしまった。



「消えちまったな・・・そんじゃ俺たちも家に戻るとするか。」

「そうだな。

決着はつかなかったが私も楽しかったぞ・・・また次回会おう。

――――――――――――――――さらばだ・・・・黒き雪の戦士よ」

魔王は消えて行ってしまったブラックスノーマンに語るようにしてハルトたちと共に街へと戻り。

報酬を受け取って分配し別れると酒場で軽く夕食を済ませて家に戻って行くのであった。




それから数日が経ち・・・メルトは例の契約でプリーストとしての任期を終えて無事に解放されるとすぐさまハルトたちがいるであろう家に戻ってくるや神酒があるのかと調べ出していた。



「あ、あったぁ~~よかった・・・本当に良かったぁ・・・あぁ~~神酒ちゃぁ~~ん。」

「朝から戻って来て私たちに挨拶もなしでソレですか??

本当にプリーストとして仕事ができていたのか不思議でたまりませんよ。」

「まぁあの契約から随分とプリーストとして働いて少しは何かを学んだのかとも思ったがメルトはどこに言ってもメルトはメルトだな。」

「起きれば酒、眠る時も酒のメルトだな。

外に出れば金と本当によくできたメルトだ。

で、メルトが戻ってきて久々の4人なのだが何をするのだ??」

魔王はハルトたちにメルトが戻ってきたことによって何か依頼でもするのかと問うがまだまだ冬が過ぎることなく寒い銀世界は継続中であり依頼も同じように難易度の高すぎるものからどうでもいいようなものまでがありふれていたのだが・・・

特に何かしたいと言うわけでもなくメルトが戻ってきたからと言って危険な依頼がいけるという事でもないとソファーに座りながらハルトが語ると。

要件がないと知ったキルりんはそれならばとバイトにでも行ってみると言って家から消えると魔王も街に何かが迫って来ていないかとパトロールに出てしまい。

ハルトとメルトは2人で沈黙を壊さないようにしつつだらだらと振舞い寛ぎだしたがメルトは何も聞こうとしないハルトに対し逆に質問を自分からするとハルトはため息をついて回答した。



「何だよ・・・せっかく今日はダラダラして過ごそうと思ってたのによ・・・別にお前の事なんか心配なんてしてないって。

どうせ教会でもここと同じ風にダラダラしてたんだろ??」

「違うわよバカ!!!あのジャージーがそれを許すと思ってんの!?

答えはノーよ!!私が休んでるのを見つけるといつも面倒な事ばかりを押し付けてくるんだから・・・けどまぁ・・・退屈はしなかったんだけど??」

メルトはプリーストとして働いていたことの思い出を話しだし。

ハルトはあまり大きなツッコミを入れずにそっぽを向いてただただメルトの話す内容を聞いていた。

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